2.





 余計に凍り付いた空間を解すべく、斎火は引き攣った笑顔のままに話題を変える。大人があどけない少女を睨み付ける構図はあまり教育上よろしくない。

「なぁ、紫水。お前占い出来るんだろ?俺の明日から一週間ぐらいの運気、占ってくれよ」
「占い?そういうものに分類されるの、私の《先見》って」
「また突拍子の無い事を。斎火、あまり占いなぞに命運を託すのは感心せんぞ」
「どこか行くの?」

 二人分の視線を受け、曖昧な笑みを浮かべる。本当に自分本位な奴等だ。
 ややあって、紫水の問いに答える。言ってはいけないかとも思ったが、黙っておくような事でもなかった。

「明日から俺は防衛戦に参加するんだよ。一時は帰ってこねぇから、風花とかに面倒見てもらえ」
「ふぅん。分かった、私が視る未来、貴方に少しだけ教えるわ」
「おぉっ!頼もしいな」

 むむ、と唸った紫水が軽く目を閉じる。ややあって、一つ頷いた彼女は淡々と述べた。

「仕事は順調。予想外と隣り合わせだから、最後まで気を抜いてはいけないわ」
「へぇ。そういう言い方すっと、本当に占いっぽいぜ」
「もう気は済んだか、行くぞ」

 やはり苛々と額に青筋を立てている透栖だったが、紫水が占っている間は大人しかった。細やかな気遣いである。