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「あぁあああ!駄目だ!やはり余には娘を叩きのめす為の計略など練れん!」
出て行こうとした志摩はその言葉に一旦足を止めた。しかし、雲雀はそんな彼に行くよう目線で促す。石動に構っていたらいつまで経っても何も進まない。
「落ち着いてください、石動殿!」
「雲雀よ!お前も何とか言ってくれ!」
「誰にですか!?」
「一色の奴だ!」
指さされた神楽木一色は怒りのあまり、フーッフーッと虎が呻るような声を上げている。その隣で囀っているのは土御門悟目。わんわん吠えるのは鳳堂院石動。いつから会議室は動物園に変わったのか。
「よろしいですかな、石動殿!」
「ええい、貴様の話など聞きたくないわ、一色!」
「子供を叩きのめしてこその親でしょう!甘やかすだけが子育てではないのですよ!というか、自宅落とされたらどうなさるおつもりなのですかな!?あんた、城外で野宿でもするつもりですか?娘は城内で快適に暮らしているのに!?」
「余が追い出される事前提か!和解の道とか希望的な事を言えんのか貴様!」
ですから、ととうとう一色が刀を両手で弄り始める。色々とぎりぎりの光景だ。
「姫様の親であるのならば、娘の非行を引っぱたいて止めるべきです!」
「・・・くぅ。分かった、分かったからその得物仕舞え。伊織の前にお前を縄に掛けるぞ」
「誰のせいだと思っているのですかッ!!」
一時収束したらしい争い。それまで蚊帳の外だった悟目がここで会話に加わった。
「えぇっと・・・結局、どうなったのですか・・・?」
「やむを得ん。悟目よ、今すぐ迎撃の指揮を執れ。これより、伊織軍を迎え撃つ」
「分かり、ました・・・」