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「あー、まあ確かに《うろ》じゃねぇわな。でも人間霊か。見に行ってみない事には何とも言えねぇ」
「番号、ひかえてあるよ?」
「さすが芽依ちゃん。おじさん感動だぜ」
録音機の話を聞き、芽依から連絡先の番号を受け取る。どう見ても携帯電話の番号だ。家の電話には出ない、という意思表示なのか何なのか。繋がらなくなった、だったら割と大事なので早めに調査へ行きたいところである。
どうしたものか、と手の中で録音機を弄くりながらぼんやり思案する。今日行くのは論外、日が暮れているし、何より疲れているからだ。明日――急に言ってOK出るだろうか。出ないだろうな、歳頃の女の子だ。
「そーいや、オッサンの他に連れてた連中はどーしたんだ?えーと、黄檗と紅の姐さんは」
性懲りもなくレトルトカレーを食べ始めた紅鳶。部屋がカレー臭いから早急に止めて欲しい。
「あー、奴等なら式見坊に貸してるぜ。いやぁ、俺はあいつに護衛なんざ要らないと思ったんだけどねぇ。ま、依頼が依頼だったから仕方ねぇか」
「えぇっと、紅殿達は何の依頼を?」
「あれ、月白。お前には説明しなかったか?いやいや、変な依頼じゃねぇんだよ。たださ、人手がいるってやつで。あいつ等のパーティって3人しかいないだろ?んで、二手に分けるとこう、色々問題がだな・・・しかも3つに人員分けなきゃいけないってんでな」
式見颯人が単独行動。あとは《うろ》4体を2と2で分けて3セットパーティを組んだ事になる。それ以外はその依頼に関与していないので何がどうなっているのかは知らないが、難しそうでもなかったし上手くやっているだろう。多分。
ねぇ、とオレンジジュースを飲んでいた有栖川芽依がふと言葉を溢した。その視線は相変わらず氷の入れすぎで汗を掻いているグラスへ注がれている。
「結局、このあとどうするの?」
「んー、じゃあ動くのは明日からだな。ま、明日は無理だったら先に心霊スポットの方を調査にし行ってもいいや。とにかく今日はおじさんを休ませてくれ」
「うん、わかった」
「よーしよし、良い子だ」
サラサラの髪を撫でると嫌そうな顔をされた。とても傷ついた。
傷心中の背中に月白が声を掛けて来る。
「あ、このスーツはクリーニングに出しますね。何か変な臭いが・・・」
「ねぇ、おじさん泣いちゃうよ?」