第4話

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 大急ぎで電車に乗り込む。すると待っていたかのようにドアが閉まった。乗客は神無以外に誰もいない。
 急激な眠気。
 それは行きと同じくまったく唐突に襲い掛かってきた。もうこのまま自然の流れに身を任せた方が良いと言い訳し、目を閉じる。電車が奏でる規則的な音が鼓膜を揺らし、意識はすぐに微睡みの中へ沈んでいった。

 ***

「・・・っ!?」

 ふと目を醒ました。電車は変わらず走り続けており、乗客も自分しかいない。
 おかしいな、結構な時間寝ていたと思うのだけれど。

「トンネル」

 窓から外を見てみれば真っ暗だった。トンネルの中なのだろう。これは今、いったいどこを走っているのだろうか。少なくとも現実世界へ戻れたわけではなさそうだが。
 トンネルの中に居ると気付いて5分が経った。
 まだトンネルは抜けない。
 慌ててスマートフォンを取り出した。天乃に連絡する為だ。
 が、そのスマートフォンの充電はすでに15%を切っている。ずっと触っていなかったはずなのに、着実に充電量を減らしていた。
 迷った末、天乃の番号に電話。

「・・・出ない!」

 出る気配が無いというか、一応コール音は鳴っているがそれは形だけだとすぐに気付いた。外界に接続されている感じがまったくしないのだ。
 どきどき、ようやく事の重大さに気付いて心臓が早鐘を打ち始める。こんなに毎日毎日恐怖に晒されていたら寿命が3年くらい縮みそうだ。まあ、寿命を全うできるとは限らないのだが。
 そうこうしているうちに起きて初めて電車がどこかのホームに止まった。相変わらず聞き取りづらいアナウンスが流れる。

『こち・・・た・・・す・・・です。お降りの・・・お足元・・・』

 全然聞いた事も無い駅名。符はもう無いが、あったとしても役に立たないだろう。