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夜宮言に連れられ、学校の外に出たところで天乃と揃ってその場にへたり込んだ。我ながら情けない話だが、脱力感とはこの事で、一時は動きたくなかった。
「大丈夫かな、須賀さん」
「華天さんなら大丈夫だよ!あの人、人間的にも強いし連れてる《うろ》もかなり強いし!」
「あれって、2人とも?1人につき1人だと思ってたよ」
そうですね、と問いには言が答えた。惨状を見た後とは思えない、いつも通りの笑みだ。
「一応、《協会》には最大5体の《うろ》を連れていた記録があります。まあ、あの方は例外中の例外ですが!2体、3体あたり連れている方は結構見ますね!ああ、私は誰も連れてはいないのですが!」
「羨ましいな・・・私も、もう一人くらい駄目ですか?」
「可能かもしれませんが、今の状態を考慮すると止めた方がいいですね!烏羽くん、かなりプライド高そうですし、仲悪い層と当たったら確実に縊り殺してしまいそうです!」
「何それ恐・・・止めます」
さて、と夜宮が手を叩く。さながらそれは園児に言う事を聞かせる保育士のようだった。
「2人ともお疲れでしょう。どう考えたって午後から授業が出来る様子でもないので、このまま解散にします。ゆっくりと身体を休めてください!」
さすがに反論するつもりも無いので大人しく指示に従う。結局、置いてきた須賀は平気なのだろうか。考えても解決するはずもないが。
***
天乃と別れ、自分の部屋へ入るその瞬間だった。須賀華天からのメールが届いたのは。思わずノブに掛けた手を話し、スマートフォンの画面に視線を移す。内容は単純なものだった。青朽葉の討伐には成功したが、『連れ』とやらは逃がしてしまった事。一時は警戒する事。そういった旨の連絡だ。
再び重い気分に陥りながらも、部屋へ入る。
先程時間を確認したが、午後4時過ぎだった。少しずつ薄暗くなっている気もするが、電気を付ける程ではない。
「烏羽・・・?」
話を色々聞いてしまった以上、少しばかり緊張するが呼んでみる。返事が無い。
忍び足でリビングを横切った時、ソファで目を閉じ眠っている相棒の姿を発見した。寝ている時でさえ恐れ戦くような形相である。起こして機嫌悪くしても困るので、見なかった事にして一度部屋へ戻る。走ったりして汗を掻いたので風呂へ入ろうと思ったのだ。