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 それで、と夜宮が強引に話の流れを引き戻す。

「これからの『仕事』について話をしなければなりませんね!」
「・・・あの。それって」
「はい!勿論お給料が出ます!仕事ですからね。その仕事なんですが」

 言われずとも何を言われるのか分かる。
 これまでにも出て来た《うろ》、怪異についてに違い無い。

「お察しの通り!《うろ》討伐班が君の所属です!危険な仕事ですが・・・まぁ、君の相棒さえ乗り気ならそう苦労するような事も無いと思いますよ」
「それ、私の匙加減じゃないですよね?」

 大丈夫だよ、と根拠も何も無く天乃がそう言い放つ。

「うちの淡藤なんてちっとも戦闘向いてないけど、今日まで大した怪我もせずにやって来れてるよ!だから神無ちゃんなら絶対大丈夫だって!」
「――と、琴美嬢は言ってらっしゃいますが、彼女は偵察系のお仕事なので危険度合いで言うと君の方が上です。真に受けないようにしてくださいね」
「え、止めていいですか?」
「駄目です。それと、連絡関係は君のスマートフォンに直接送られますから定期的に確認した方がいいですね。見逃すと面倒ですよ、後処理が」

 いつの間に自分の連絡先を入手したのか甚だ疑問であるが訊くのも面倒でスルーしてしまった。もう何でもありなのだと思う。

「さて、私からの話は以上ですね。あとはうちの支部長が――」
「話は終わったか?時間が押しているからな、そろそろ頃合いなんだが」
「ええ。お待ちしていましたよ、華天さん」

 やはりタイミングピッタリにこの怪しげなビルの責任者が現れた。その後ろには先程うっかり自分が喚び出してしまった強面の男がいる。ロビーを見回して人間には感心が無いようだ。