STEP:1

01.


「――それで、俺はまず何をどうすればいいんだ・・・?」

 せやなあ、と考え込んだ折竹はそうだ、と何か閃いたようにこう言った。

「まずは一緒に帰る事から始めたらええやん。まあ、運動部終わるの遅いからな。伊芸さんも部活がある日とかに・・・」
「伊芸は帰宅部だぞ」
「帰宅部!?おお、珍しい子やんなぁ。え、もしかして性格とかキツイ感じか?」
「いや別に・・・ただちょっと、話し掛けた時に話を聞いてなかったりするくらいだな」
「ああ、それで教師からの圧力にも負けへんかった、と。何や無理矢理な気ぃするな」

 帰宅部、という事は学校終了後、学校に残る用事がないという事だ。授業が3時半過ぎくらいに終わり、夏場の練習は6時半までだとして最低3時間、長引けばもっと待たせる事になってしまうだろう。
 陸上部の練習は水曜日のみが休みとなっている。運動場を使う部活は他に幾つもあるが、陸部の人口は男女混合である事を考えると一番多い。よって、運動場を使える日も一番多い。まさか、部活がこんな所で学校生活の足を引っ張る事になるとは。

「・・・取り敢えず水曜だけでも頼み込んでみるか」
「それがええな。ま、頑張り」
「お前アレだよな、案外現実的な方法を提案してくるよな。いきなり変な事言い出すんじゃないかって気が気じゃなかったけど」
「アホ。自分の立場忘れたんか?お前、現状片想い、つったやんけ。いきなり変な事したら最悪通報や」
「そうだよなぁ。いや、やっぱりお前現実主義だわ。というか、ドライ」
「人を乾物みたいに言うな。ああでも、俺も初恋の時はちゃんと夢視た恋愛してたんやで?でも、俺みたいなのに夢は無かったわ。くそっ、今思いだしても腹立つ。告白した瞬間の豹変て一番醒めるねん、夢から」

 何か深くて暗い事情がありそうだが、その話は結構有名である。長くなるし彼を悪く言うのも気が引けるので事情そのものは省かせてもらうが。
 ああそれと、とここで初めて折竹はその手を止め、かなり真剣そうな顔をした。

「陸部には恋愛上手がぎょうさんおんねんけど、ただ一人、清澄のアドバイスにだけは耳を貸さんどき。いや、聞いてもええけど実践はせん方がいいで。その辺はあいつも分かっとるやろうから助言とかはせえへんやろけど。それだけや」
「え?何その恐い忠告・・・つか、お前等仲良いんだよな?」
「仲ええから言うとるんや。確かに清澄は良い奴やし、気配りも出来る。あんなふらふらしとるけどやるべき事はちゃんとやっとる。あんだけサボっとってもレギュラー落とさんしな。けどな、仲ええからこその忠告やで。ホント頼んだわ」

 いやに真面目にそう言われてしまっては否定も出来ない。分かった、と頷いた宏は練習前に話し込んでしまった事に気付き、準備の速度を上げた。部長を引き留めてしまったわけだが、いつもどこか余裕な部長様は今日も当然余裕だった。