Ep7

02.


「私は4番目だったわね、確か。部員いなさすぎだと思ったのよ」
「珠代ちゃんは私が誘ったもんね。まさか本当に兼部してくれるとは思わなかったよ・・・副部長なのに」

 ふふ、と珠代ちゃんは綺麗に笑った。

「弓道場を使うのは弓道部だけよ。練習は毎日あるけれど、飽き時間がちゃんとあるのだから気にしなくて良いわ」
「珠代ちゃん・・・!!」

 友情を確かめあっていると清澄くんが指を折りながら思い出したように会話の流れに乗る。

「そん次は司やね。俺はその後に司に誘われて入ったけん・・・2年組はそこから更に後だったっけ?」
「はい。あたしと芳垣はその後――というか、入ったの今年ですね」
「ん?そしたら、鹿目はいつ?」
「珠代ちゃんより少し前だよ、清澄くん」

 懐かしい事だ。だんだん部員が増えていって、ようやく現状に落ち着くまで目まぐるしい日々ではあったけれど、今思えば充実していた。
 月原くんは部室の妖精なので基本的に勧誘は苦手だったし、鹿目くんが来てくれた理由も謎だ。彼はいつの間にか部員になり、更に副部長まで務めていた。あれ、彼の存在そのものが実は心霊なのでは。

「そういえば、葉木ちゃんは月原と結構仲良かよね」
「えっ。そんな事無いよ、月原くんとはそれまで何の関係も無かったし」
「よう部活入ったね」
「うーん、まあそれはやんごとなき事情ってやつかなあ・・・」

 と、不意に由衣ちゃんが立ち上がった。まだ作業始まってすらいないのに飽きてしまったのだろうか。

「珠代先輩、購買にジュース買いに行きませんか?喉渇いちゃいました」
「私は飲み物を持って来ているわ、壱花と行けばいいじゃない」
「・・・・え?いやいやいや!壱花先輩は今から報告書上げないといけないじゃないですか!」
「飲み物も買いにいけない程缶詰する必要は無いわ。ね、そうでしょ?」

 ――何だこの空気。
 何故か珠代ちゃんの正気を疑うような顔をしている由衣ちゃんと、それを茫然と眺める私に清澄くん。え、喧嘩でもしてるの?さっきまで和気藹々してたじゃん、どこに争いの種があったというのか。
 ちら、と何か知っているかもしれない清澄くんに視線を送る。が、やっぱり彼は何事が起きたのか分かっていないらしく、私と同じような顔をしてこちらを見ていた。やったね、以心伝心!