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創作屋さんにお題50

14:アイスクリーム好きなんだ


「うむ・・・なかなかに壮観な光景よな・・・」

 1階食堂にて。昼食を摂りに来たレックスは絶句していた。時間が多少ズレているせいか、食堂には見知った人影しかないが、それにしたって何事だと言うのか。
 端の机に散乱したアイスの棒。それは居酒屋へ行った時の食べた後の串みたいにグラスに何十本も刺さっている。そしてうずたかく積まれたアイスの袋。ざっと見たところ、確実に二桁はある。

「あー、レックスさんも食べますか?やっぱり夏と言えばアイスっしょ!」
「暑い・・・」

 百歩譲ってこの光景の中にカイルがいる事は良い。イメージ通りだし、あまり違和感は無い。が、その真向かいにぐったりしたギルバードが座っている事に関しては首を傾げざるをえなかった。

「これは何事だ?んん、ちょっと俺にも教えてくれんか?」
「え?ミルクアイスッス、これ!」
「いやな、アイスの種類ではなく何故このような事態に陥ったのかを聞きたいのさ」

 カイルはきょとんとした顔をした後、机の上のアイス、そしてギルバードを一瞥して、ようやく目当ての答えを寄越した。

「あー、なんかギルさんが暑いって言うからアイスパーティやってたッス!獣人にとって暑さって大敵なんスよねー。あ、レックスさんもお一つどーッスか?」
「うむ、頂こう。棒が付いているアイスがいいな。俺の体温だとチョコレートですらすぐに溶ける」

 受け取ったアイスの袋を開ける。混血のカイルはまだしも、この湿気を伴った暑さはギルバードその人に深刻な被害を与えているようだった。黙々とアイスを食べる姿に戦慄しつつ、甘すぎるそれを口の中に入れた。