創作屋さんにお題50

11:あの映画、やばくね?


 待機室での話だ。
 実働班なので仕方が無いと言えば仕方が無いのだが、なかなか任地が定まらない時がある。例えば標的が移動しているだとか、市街地で人が多すぎるので誘導してから戦闘に持ち込むだとかそんな事情だ。
 その日も暇を持て余していたギルバードは待ち時間が長くなる事を見越して、借りた本に視線を落としていた。今日の任務のお供はカイルとイーヴァの新入り2人だ。多大な不安はあるものの、敵が大した事無さそうな奴なのできっと平気だろう。

「聞いてよ、マジさぁ、昨日みた映画ヤバ過ぎ。何がヤバイかって結局何を伝えたかったのかわかんねぇんだよな」

 フランクに話し掛けるな、と思っていればカイルの視線の先にいるのはイーヴァだった。彼女は何をするでもなく椅子に腰掛けどこでもないどこかを見ていた。が、カイルが話し掛けてきた事によりその首がゆっくり動いて同僚の姿を写す。
 ――明らかに人選ミスだろう。何故イーヴァに映画の話を振った・・・。
 気が散る。混沌とした会話が始まりそうな予感が文字を読み進める目を止めるのだ。頼むから適当に会話を切り上げてくれ。集中出来ない。

「――それは、ヴァンパイアになった少女が復讐の為に魔族を片っ端からニンニク漬けにするという映画でしょうか」
「そうそう、それッス!何が意味分からないかって、ヴァンパイアはそもそも魔族じゃねぇし、何で魔族に復讐する事に至ったかまるで不明って事なんだよな!」
「吸血鬼などという種族は存在しませんからね。人間の知識の浅さが、あのような映画を生み出してしまったのでしょう」
「何か映画の話になったら途端饒舌だよな、イーヴァ・・・」

 ふ、と僅かにイーヴァが目を眇めた。

「そうですね。知り合いの受け売りです」

 時々出て来る知り合いとは一体何者なのだろうか。もう読む気を無くした本に栞を挟み、ギルバードは大きく伸びをした。一言だけ言いたい事がある。

「お前達、そんな映画はどこから見つけて来るんだ?」