第2話

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 住み始めて3ヶ月が経った。

「見て下さいこれ!」

 ロビーで会った家主は随分と上機嫌だ。何か良いことがあったようなので話の続きを待っていると目の前で金属質なチェーンが揺れた。どう見てもロケットペンダントである。買ったのだろうか。

「写真屋のお兄さんに貰ったんです。可愛いでしょう?」
「・・・ああ、そうだな」

 どんな境遇だろうと女の子。分かりやすく浮かれている様を見て自然とこちらまで笑えてくる。カツカツ生活は相変わらずだし思えば買いたい物も我慢していたのかもしれない。

「そのうち、これに入れる写真を撮りましょうね」
「前のやつじゃ駄目なのか?」
「大きすぎて入りません」

 イーヴァの手の中の小さな金具に目を落とす。確かに、これにあの普通サイズの写真が入るとは思えなかった。

「それに、もう入れる写真は決めてるんです」
「聞こうか」
「はい。宿復活記念の写真!それを入れるまで、絶対に何も入れませんから」

 苦笑する。それは何ヶ月先と言うより何年先の話になるのだろうか。一時はただのペンダントとして活用される事になりそうである。

「その時は一緒に撮ってくれるんですよね?」
「ああ、勿論」

 最近、表情が豊かになってきた少女は風呂場の方へ走って行った。あの様子だとマリィにも自慢してくるのだろう。