3.





 途端、怯え出す盗賊団のお頭。
 それを無視してレインは言葉を続けた。

「イリーナを捜してんだろ?あいつなら、うちのギルドにいる。つーか、お前に会わせる為に捜してたんだぜ、灯船」
「はぁ?」

 そんな予定は無かったと思う、と灯船が首を傾げる。何やら雲行きが怪しくなってきた。

「ねぇ、ヴォルフさん」
「あ、あぁ!?何だ?」
「いや、そんなに引かれると・・・若干傷つくわ。で、レインが何を言っているのか訳して欲しいな」

 引き攣った顔のヴォルフは視線をレインへ戻す。彼はと言うと、用が有るのは灯船だけのようでその視線は鍛冶士に釘付けである。
 眉根を寄せたヴォルフは軽く肩を竦める。

「俺にも何が起きているのか分からん。が、俺達が捜していたイリーナという女性は、レインが言う通り、ギルドにいるのだろうな」
「じゃあもう、ギルドに帰る?」
「ここに用は無いから、帰る方が得策だと思うが」

 会話に緋桜が加わった。

「どうも腑に落ちないなぁ。どうしてそのイリーナはうちのギルドにいるわけ?」
「それはレインに説明してもらわなければ」
「レインくんの目的は灯船さんだけみたいだけどね」

 そうこうしているうちに話の決着がついたのか、灯船がこちらを向く。

「――よう理由は分からんけど、どうもうちのギルドにイリーナちゃんがいるらしいわ。せやから、ホントすまんけど、ギルドに帰るで」

 いまいち要領を得ない灯船の言葉を受け継ぎ、疲れた顔をしたレインが言葉を紡ぐ。

「わけはギルドで話すぜ。俺が話すより、アーサーの奴が説明した方が分かり易いだろ」