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一先ず別荘にいるメンバーを呼び出す。自分は戦闘員ではないから数には含まない。
――が、集まったのは最初からいたアルハルト、駆け付けてきたジルヴィアにクラウディア、レリアだけだった。いないのはデクスターとデルク。そういえば彼等は裏山に出掛けて行ったばかりである。
「レリア様はここにいてください。わたくしはご主人様の護衛の任に就きます」
「妥当だな。それで、戦況は?」
クラウディアの宣言に何故かジルヴィアが力強く同意を示した。デルクがいない為、誰かが自分の面倒を見なければならないと思っているらしい。残念だが、逃げる事に駆けては他の追随を許さないのがエディスだ。護られる必要は無いが、護衛がいるならいるで行動範囲も広がるしその申し出は受ける事とする。
あとはレリアに伝言を頼むとしよう。裏山に出掛けて行った二人組が帰って来たらどこそこへ任務に出た、と。
「場所はそう遠くねぇ。近くにいるなら交戦してんのに気付くかもしれないな。ま、お前の言い分では裏山つったら魔物がいる場所の反対方向だが」
「依頼人か?」
「お前、皇国の兵士だな。雰囲気で分かる。ま、依頼人つったら語弊があるがそうなるだろ。バートランドだ、よろしくな」
ジルヴィアが目を眇める。そも、皇国と王国はあまり仲がよろしくない。危機的状況であるから停戦協定を結んでいるが、皇国の方は常日頃戦争の理由を探しているような国だ。嫌煙されるのはある種仕方のない事である。
バートランドは唇の端を吊り上げると立ち上がった。のんびりしているように見えてはいたが、本当にゆっくりするつもりは無いらしい。
「全員を連れて行くのか」
アルハルトの問いに頷いた。魔物がどんなものなのか知らないが、軍が立ち往生するくらいだ。それなりのものであるに違い無い。
「お前、ボンヤリしていたら知らないからな」
「そうか」
デルクがいないと会話にならないな。意外と積極的にメンバーへ絡んでいくジルヴィアとやっぱりどう見たって話を聞いていないアルハルトを見てそう思った。