4.
結局、どこでもいいと応えたのがパーシヴァルにフェリクス。やや条件付けがあるのがルーカスとヒイラギ、すでに決まっており出来れば譲りたくないのがヴェーラ自身とカイである。
「私は第5師団ね。あの師団には軍師がいないもの。頑張れば師団の専属軍師になれるわ」
「すごいねー、ヴェーラちゃん。もう出世の事しか頭に無いんだ!私なんて馴染めるかなぁ、とか恐い人いないかなぁ、とかすっごく心配なのに!」
「えっと、貶されてるのかな?誉められてるのかな?・・・まさか、被ってないわよね?カイ」
ああ、とカイが頷く。彼は少しだけ顔を伏せ、少しだけ自信無さそうに呟いた。
「僕は3師団だな。剣を振るうのも苦手じゃないが、魔道の方が性に合ってる気がしてね。どうせなら剣士職足りなさそうな3師団に行くよ」
「そうかそうか!複合職は引く手数多で羨ましい限りだなっ!」
手放しで喜ぶパーシヴァル。仲間の就職を素直に喜ぶ様は好ましいが、彼自身は剣士職1本だ。行く宛はあるのだろうか。
恐い事実には蓋をし、ルーカスを一先ず飛ばした状態でヒイラギの話題へ転換する。
現時点で残っている師団は1、2、4、6だ。ただしヒイラギにとって1と2は無いも同然なので4師団か6師団のどちらかになるだろう。
「で、あなたはどんな師団に入りたいの?」
そうね、とヒイラギがはにかんだように笑う。少し世間知らずっぷりが酷い彼女の事だ。とんでもない事を言い出すに違い無い。
「私は・・・アットホームな感じの師団がいいかな。どこかいいところある?ヴェーラちゃん」
「・・・ええっと、適性とかは無視でいいのかしら?」
「うん」
「あなた、意外と大物よね。うーん・・・オススメは4師団かな。面倒見が良い、あなたと同じ東の部族出身者の男性がいるわ」
「じゃあ、そこにするよ。ヴェーラちゃんがデタラメ言うはずないもの」
肩に嫌な重圧がのし掛かる。手放しで信用してくれるのは構わないが、もっと主体性を持つべきだ。彼女は。
それは一旦忘れ、それまで黙っていたルーカスに視線を移す。案外オレはどうなった、とか言い出すように思えたが彼は彼で不気味なくらい大人しかった。