2.





 凍った空気を珍しく敏感に感じ取った真白は震える声を押さえつけ、尋ねた。その答えで一体何が変わるのか、若干の恐怖心を抱きながら。

「どういう事・・・?」
「どう、って・・・。ああ、真白は知らないのかな」

 ちらり、と由の視線がラグを捉える。

「そのままの意味だよ。柊は病気なんだ」
「え」
「・・・本当か、ラグ?」

 これには少しだけ驚かされたのか、ディラスが怪訝そうにラグを見やる。あーあー、と謎の奇声を発した彼は一つだけ頷いた。
 そうして、由の説明を引き継ぐ。

「お前等は美緒と会ったよな?あいつの能力は『活性化』。俺はあの能力がなきゃ、生きていけないのさ」
「この場に美緒はいないわ。それは確かに、大丈夫とは言えないと思う。むしろ、帰って病院へ行った方がいいんじゃない?」
「それが出来るなら俺は絶対にここに残りたいとは言わないだろうよ」

 柊と美緒の考えは分かった。彼等はただ、生きたいだけなのだ。こうして鑑みると、彼等は口が裂けたって何をされたって帰りたいとは言わないだろう。本当の意味で生死が掛かっているのだから。
 自分の――ただ何となく、まだここにいたいという思いの何と軽い事か。
 しかし、それ以上に気になる事がある。

「・・・それを知っていながら、貴方が帰りたがるのは、何故?」

 この話だけ聞けば、以前の真白であっても「じゃあ、帰らない方がいいんじゃない?」、とほざいているところだ。一応、仲間思いの淡嶋由であるなら尚更。けれど彼は、この中で誰よりも帰りたがっている。
 それは、と由が口を開きかけたところで、王座への扉が勢いよく開いた。

「王よ、無事か!?」

 いったい何の行き違いなのか、守備兵達が入って来たのだ。