2.





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 国内で最も尊い場所。
 ここへ足を踏み入れるのは2度目である。ただし、玉座の主と見えるのは、1度目なのだが。

「・・・知った顔ばかりだね」

 玉座の主――ギルバート=ドウェインまた淡嶋由はそう言って笑った。いつも通り、会場を湧かせるような爽やかな笑みだった。それに怖気を感じたのは多分、真白だけではないだろう。
 一応人払いはしてあるその間には現在、真白、ラグ、ディラス――そして、由の姿がある。キリトはマゼンダを連れて行ったきり姿を見せていない。

「で、君は本当に空気が読めないね」

 視線はディラスを射貫いている。そうだ、彼だけがこの場で『淡嶋由』とは何の繋がりもない。ふん、とディラスはそれを鼻で嗤う。それが何だと言いたげ――否、実際そう思っている事だろう。

「柊、美緒はどうしたのかな?」
「さぁ・・・いつも一緒にいるわけじゃないから、俺には何とも言えないな」
「ここには来てないんだね」

 くすくす、とその綺麗な顔で由は笑う。けれど、可笑しいと言うより懐かしくて笑っているような。彼の意図が読めず、真白は口を挟んだ。自分のキャラではない、と内心思いつつもこの場で2人だけを会話させるわけにはいかなかったのだ。

「美緒が来たら大変な事になるでしょ。全員揃ってしまうもの」
「うーん、僕が言いたいのは戦略的な話じゃないんだけどね・・・そうだろ、柊?」
「・・・・」
「知らないのはきっと、真白だけだよ?ああ、《ジェスター》も知らないかな。当然ね」

 ディラスを見上げる。が、彼はラグこと柊の事情などまったく意に介していないようで、油断無く辺りを見回していた。強襲に備えているのだろうが、多分その必要は無い。

「どうして美緒とラグの事ばかりを気にするの?今ここに、いないから?」
「真白が僕の意見に賛成しないのにも手を焼かされたけれど、柊と美緒の事情にも僕は手を焼いているからね。早めに確保したい――し、それに・・・」

 由の瞳が揺れる。本当に――まるで本当に、柊の事を心配しているように。というか、しているのだ。とてもとても心配している。

「君がこの場でいきなり死んでしまったりなんかしたら、僕は悲しいな」

 空気が凍った。