2.





 で、と事務的でありながら苛立ちを隠さない声色でアルフレッドは正面に座るマゼンダと、その隣に座らされた真白を見た。もちろん、真白本人は完全にとばっちりであり、ディラスの「何をやってるんだ・・・」、と言わんばかりの視線が痛い。
 ともあれ、リーダー様の様子からして何か色々な事が一度に起きたらしい事はよく分かった。

「ディラス、お前の件については平和的だから後回しだ」
「ああ、構わないさ」

 ――が、お前は駄目だ、マゼンダ。
 と、鋭い視線が古株の1人である彼女を射貫く。しかし、さすがは古株の貫禄と言ったところかニヤニヤといつも通りの笑みを浮かべるマゼンダ。

「あたしに何が聞きたいって?見ての通り、あたしは真白っちと戯れてただけさ」
「真白をどこに連れて行くつもりだった?」
「別にどこだっていいだろ」
「よくないな」

 口を挟んだのはディラスだった。怒りや憎しみなどの感情は無く、ただ黙ってマゼンダを見るその目に真白は冷静さを取り戻した。

「てめぇ、ディラス!横槍入れるなよ」
「お前の軽率な行動が目に余るのは、今に始まった事じゃないだろう。僕は僕にそれが飛び火しないよう、自分の身を護っているだけだ」
「あたしが毎回トラブル起こしてるみたいな言い方は止めろ」
「お前が連れている双子がトラブルを巻き起こすのは毎度の事だ。今更気にしてはいない」

 啀み合う大人2人。荒んだ溜息を吐き出したアルフレッドの視線が今度は真白を捉える。何となく、目が逸らせなくなって真正面から見返してみた。

「お前も、どうしてマゼンダの様子がおかしいって気付かねぇんだよ」
「気付いた時には手遅れだった」
「・・・」

 うわっ、非力だな。とでも言いたげな顔をされた。やっぱり彼は嫌いだ。

「――で、マゼンダ。事情だけは聞いてやる。手短に話せ」
「・・・わーったよ」

 両手を挙げて降参しまーす、などと宣った彼女はソファに腰を掛け直した。