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まあまあ、とキリトを宥めたギルバートは何故か可笑しそうに笑った。それは困っているようでもあったが、やはりどこか楽しげで。
「つまりさ――全体的に上手く行っていないって事?」
「・・・そうなるな」
対するキリトの顔は渋い。あまりにも失敗続きなので嫌気が差しているような、そんな印象である。もう一度不気味に嗤ったギルバートの視線がこちらを向く。
「だそうだ。そろそろ君達の保護者が迎えに来る頃じゃないかな」
「上手く行ってねーんだろ」
「じゃあ来ないでしょ」
反論するも余計に王は嗤うだけだった。
「何を言っているんだか。上手く行っていないから、君達っていうカードを使わなきゃならなくなったんだけどね」
――もっともな言葉に黙ったイリヤは次の質問を投げ掛ける事にした。
最初から気になってはいたものの、優先度はあまり高く無かった疑問。そろそろ答えを知ってもいい頃じゃないだろうか。
「何の為にこんな事やってんだよ、あんた」
「そうそう。王様なのに」
「「コソコソする必要無いじゃん」」
途端、ギルバートの笑みが消えた――否、正確に言うならばまだ笑っている。目、以外は。ああ、地雷踏んだなと思う前に王は口を開く。
「ねぇ、帰りたいかい?」
「答えになってねーぞ」
「帰りたいに決まってるでしょ」
本筋に戻すのはイリヤ、双子の言葉を代弁するのはイリス。
イリヤの言葉を受け流した王はイリスの言葉を拾い上げた。
「帰りたいのなら、今の僕と君達の気持ちはきっと同じはずだ」
そう言った彼はやっぱりちっとも笑っていなかった。