2.





 んで、俺の用事なんだけどよ、と唐突に話を振ってきた彼は至って真面目な顔だった。どうやら本当に急ぎだったらしい。

「お前、《賢人の宴》知ってるよな?」
「革命軍でしょう?私も何回か会ったわ」
「おう。その《宴》なんだが、上からほとんどが殺されて壊滅状態らしい」
「え?」

 革命軍と出会ったのは3回。
 一度目はヴィンディレス邸――姉妹2人がその《宴》のメンバーだった。誰も生き残らなかった。
 二度目はまたヴィンディレス邸――ブラッドとヴァッシュに出会った。彼等は無事だったが、ディラスと出会ってしまった男が一人死んだらしい。
 三度目は王都、王の御前――仲間を殺されたと憤慨したヴァッシュと数名の仲間達。誰も生き残らなかった。

「お前等が王都に行った日の話だ」
「ヴァッシュ、っていう人なら死んでしまったわ」
「はぁ?5位の?そういや死亡報告聞いたな・・・。いや、それじゃなくて。1位のブラッドが誰かに暗殺されてんだよ」

 思わぬ物騒な単語に真白は眉根を寄せた。あまりにも聞き慣れない言葉だったのだ。
 しかしそれよりも――

「どうして革命軍の事情に詳しいの?アルフレッドもディラスも、マゼンダだってそんな話は一言もしていなかったのに」
「あ?あぁ、内通者っての?情報交換してる奴がいるんだよ」
「その情報は私ではなく、他の誰かに言うべきだと思うのだけれど」
「あー!分かんねぇかな。王都で王と対面してたお前等は完全に《宴》の仇討ち対象に入ってんだよ。お前等が1位を殺してねぇって知ってるのは、俺と、お前と、ディラスと、スパイだけだっつの!」

 それはつまり、真白達の身の潔白を示せる人間がたった二人しかいない事になる。言わずともがなラグと、彼の知り合いである『内通者』とかいうどこかの誰かだ。

「その人が私達がやっていない事を証明出来るんじゃないの?」
「他の組織に情報流す為に情報収集してたから、ディラスと真白は犯人じゃねぇって?おいおい、冗談か」

 ふん、と鼻を鳴らしたラグは明らかに真白を馬鹿にしているようだった。