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 またお前らかよ、とややうんざりしたように言ったのは食堂への乱入者その人だった。聞き覚えのある声だと思えば放浪癖で女癖も悪いラグである。ともあれ、彼がうんざりしているように真白もまたラグと出会って早々にうんざりした気分を味わっている。
 ややこしい事態だというのに、その本人が現れてしまえば眉根を寄せて嫌悪感を示す事以外出来なかった。

「いつもいつも一緒にいるじゃねぇか。保護者かよディラス・・・」
「お前にどうこう言われる筋合いはない。用が無いのならどこへでも行けばいいだろうに」
「ディラスよぉ・・・お前は俺とアルだけには滅茶苦茶冷てぇよな」

 面倒になってきたからケーキをさっさと平らげてお暇するとしよう。なんとなく彼等の絡みを見るのは苦手だった。どちらも刺々しいというか、どちらの考えている事も知っているが故に、見るに堪えない。
 ディラスには悪いが、喧嘩をするのならば二人でしていてもらいたいものだ。
 というかラグにはもう少し空気を読む術を心得てもらいたい。彼がもうちょっと神経を使ってくれたのならば、こんな微妙な空気にはならなかった。

「ラグのケーキは無いから、早くどこかへ行って」
「お前はお前で冷たいな・・・」
「本当の事でしょう?」

 暗に早くこの場から去れ、と忠告しているのだが生憎と彼との意思の疎通はおよそ不可能だった。というのも、真白が伝えたい事は一割も伝わっていないようだった。

「つれない事言うなって」
「もういいから、出て行ってくれ、ラグ」
「食堂はいつからお前らのプライベートルームになったんだよ」

 微かに憤慨しているらしい。ディラスとしては真白への忠告が途中だったし、真白としては今ここでこのメンバーが揃っているのが居心地悪くて仕方が無い。