6
「ラグ、お前、今回はどのくらいここにいるんだ?」
そう問うたのはアルフレッドだった。
ラグには放浪癖があるので、あまり長くこの屋敷に滞在する事は無い。むしろ、こうやって彼が帰った初日に騒ぎ倒してしまえば明日にでもいなくなっている可能性すら出て来る。
さらに、出て行って次はいつ帰って来るのかも定かではない。
屋敷を取り仕切っているアルフレッドとしては、信憑性のある情報が欲しいところなのだろう。
聞くとはなしに耳を傾けていれば、少し困ったように呻ったラグが呟いた。
「一時はいるぜ。ちょっとやんなきゃならない事が出来てよ」
「・・・ラグ、熱でもあるんじゃね?あたしちょいと心配になってきたわ」
ぎょっとした顔のマゼンダがラグの顔を覗き込む。ディラスもそちらへ視線を向けたが彼の顔色は健康そのものだった。
「珍しいな、ラグ。分からん、って言われると思ってたぜ。何の心境の変化だよ」
「言ったろ?やる事あるんだって。俺だってただ毎日毎日遊んでるわけじゃねぇんだよ」
「へぇ・・・」
面倒だとは言わないが気が進むわけでもない、と呟いたラグがウィスキーを煽る。その様がどことなく彼らしくないような気がした。