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その後、いつも通りの昼を真白と過ごし、日が暮れたディラスはロビーへと下りていった。飲み会そのものに然したる興味は無いが、上等な酒があるのならば話は別だ。こういう機会にしか良い酒は飲めなのいだから、素直にご馳走になるとしよう。
ロビーへ着くとすでにマゼンダとラグが笑い転げながら談笑していた。酒の力は凄い、なんて思ったが彼等はまだ何も飲んでいない。白面でこのテンションなのだ。
「きゃははは・・・あ!ディラス!てめぇ、上物の酒がある時だけは来やがって!」
早々に突っ掛かって来たのはマゼンダ。彼女は良くも悪くもよく喋る。
にやにやと笑ったラグがそれを追随。煩い人間が揃うと場も相応に煩くなるものだ。
「あれ、お前真白は・・・まぁ、連れてきてるわけねぇよな!」
「真白っちは純情っぽいおこちゃまだからねぇ」
「へぇへぇ」
新人に構いたがるラグがマゼンダの話題に食いつくのは必然だった。溜息を吐いたディラスは一先ず空いている席に腰掛ける。
「アルフレッドはどうした?」
「あぁん?アルぅ?あいつなら仕事が片付かない、つってまだ来てないよ。もうすぐ来るだろ」
「来てねぇのがマゼンダやディラスだったらな。もう、開けちまうんだがよ」
と、ラグが目で指したのは酒瓶である。ワインからウィスキー、ウォッカまで様々だがその全てが見覚えのあるブランド。一体この宴会の為にどれだけの札が飛んでいったか知れない。
それをディラスが理解したと知った上で、ラグは残念そうに肩を竦めた。
「さすがにあれ買って来た奴を差し置いて、俺等だけ盛り上がれねぇだろうぜ?」
「当然だ。が、この際、奴の事など構わずさっさと始めるのも優しさかもしれないな」
「あれだわ、ディラス。お前、相変わらずアルの野郎に冷てぇのな」
そんな事は無い、と言いたかったが、少し前の王都での事件があったのでそれの意趣返しだと思えば否定は出来なかった。