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ふとノーラは誰もいない廊下を振り返った。それに意味は無かったし、理由も原因も無かった。
「どうされました、王女様?」
一歩後ろを歩いていた新兵の彼がおずおずと尋ねる。その態度が少しだけ気に入らなかったが、第四王女は至っていつも通りに微笑んだ。それはいっそ、清々しい程に爽やかな笑み。
「何でもないよ。ところで君、ライアンの隣に居た彼を知っているかい?」
「えっ・・・!?いえ、知りませんが」
「君の先輩じゃないのかな?」
「えっと、違う、と思います」
そうか、と頷いたノーラがくるりと踵を返す。
その顔は無表情だった。