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「そうなってくるとまず問題になるのが、君達が付けているその枷の鍵がどこにあるかって事だ」
困り顔でエルドレッドは肩を竦めた。そう、これがあるから集まった人間の一部が上手く回せない。集まった人数と動員出来る人数に差がある。ただでさえ相手は王国なのだから、頭数だけは揃えておきたいのが本音だろう。
「下手な事をして君達の首が飛ぶのは本意じゃない。そんな事をするぐらいならば、君達は置いて行こう」
――枷の鍵は王室にある。国王たる彼の所持品だ。
少し前、ノーラ姫に言われた言葉が鮮明に甦る。様子がおかしかった彼女が口走った重要秘密事項。
「枷の鍵なら・・・王室にあるらしいぜ」
「え?王が管理してるって事か?」
「あぁ」
一つ頷いたエルドは難しい顔をして呻っていたが、ややあってすまなそうな視線がこちらを向く。
「誰からの情報だい、それは」
「教えねぇよ」
「信用出来るなら深くは聞かないさ。どうだろう、その情報は本当に信用出来るのか?」
暫し迷ったライアンはややあって頷く。
あの姫君がさらっと嘘を吐く場面など想像出来ない。それに、あの場でライアンに鍵の場所を教えたのも謎だ。理由が無い。
ならば。
「信用は出来るぜ。だからこれ以上、詮索するな」
ノーラ姫の名前は伏せておいた。この、どう転がるか分からない事態に出来るだけ彼女を巻き込まないようにと。