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「ったく、面倒な奴でしたよ本当」
そんな話をノーラ姫にしたところ、彼女はケラケラと笑った。何かが面白かったらしいが、ライアンには彼女の面白いポイントなんて分かるはずもなかった。
「いいなぁ、外から来たんだ。私も会ってみたいかな!」
「えぇ!?止めておいた方がいいですよ。奴、結構危険そうだったんで」
「どういう風に、かな?」
「今にも『王族なんて駆逐してやる!』とか言い出しそうな奴でしたよ。姫様も王族じゃないですか」
「おや?私の心配をしてくれているのかい?嬉しいなぁ」
無邪気に笑う姫君を見て、やはりライアンは先行き不安になった。獣の勘というか、とにかくあのエルドレッドという男は良くない。ノーラ姫にとって。
会わせたくないし、会わせる気も無いが現在は姫と奴隷である。ややあって、がっくりと項垂れるようにライアンは頭を垂れた。
「あー。分かりました。じゃあ、今度会った時は姫さんも呼びますよ」
「さすがだねライアン。物分かりが良い!」
その日は始終、上機嫌だったノーラ姫に茶をご馳走してもらった挙げ句、ケーキを3個も食べたライアンは胃痛に悩まされた。