6.





 そういえば、とふと例の話題を思い出したフレディは口を開いた。ハーヴィーが合流してからというもの、何となく静かになってしまったメンバーの活気を引き立てる意味合いもあったのだが。

「あのさ、エリオットとハーヴィーさんは笑い声、聞かなかったのか?」

 笑い声、と首を傾げたのはエリオットである。まあ、彼はさっきまでただの酔っ払いだったので最初から期待はしていない。この様子からして、何の話だか分かっていないようだったし。
 代わり、ハーヴィーは何故か一つ頷いた。それは肯定の意でもあるようだったし、何かを自分の中で解決したようにも思えた。

「誰か住んでいるのかもしれないな」
「ちょっとッ!止めなさいよ!!」

 この発言に怒り狂ったのは笑い声を一緒に聞いたはずのアドレイドだった。怒っている割に顔は蒼い。恐怖心を煽るような事を言うな、と憤慨しているのは一目瞭然だ。
 アドレイドと同じくぞっとした気分を味わっていたフレディは唐突に立ち止まったシンシアに衝突した。

「うおっ!何だよ、シンシア」
「・・・うん、早く出た方が良いかも。どうする?まだサイラス達、捜す?」
「ちょ、お前まで何か怖い感じに話すんじゃねぇ・・・」
「どうする?」

 何だか、シンシアの顔も若干青ざめている気がする。今更ながら、心臓が早鐘を打ち始め、変な汗が背筋を伝う。ああ、本当にまずいんだとそう脳が警鐘を鳴らしている。
 頑なに前だけを見ていたシンシアがふと顔を上げた、その目は廊下の先を見ている――

「――ッ!?」

 フレディは不意に振り返った。耳元で声が聞こえた気がしたのだ。もちろん、自分の後ろにはハーヴィーしかいない――

「あれ?ハーヴィーさん――」

「あっ!シンシアちゃん!無事だったかい!?」

 眩しい光が目を焼く。それと同時にカーティスの声が響いた。