6.





 そこで、フレディは信じられない光景を目にする事となる。
 先程まで自分の後ろに立っていたはずのハーヴィーが何食わぬ顔で、今し方合流したサイラス達の方に立っていたのだ。もちろん、先程までいたはずの『ハーヴィー』の姿は無い。
 それはシンシアも気付いていたらしく、やや顔が蒼くなっている。それを怖がっていると勘違いしたのか、向こう側のハーヴィーが何故かすまない、と謝った。

「捜しに行ったのだが、何故かサイラス達とまた合流してしまった」
「・・・えっと、それは私を捜しに行ったっていう意味?」
「少なからず俺達に責任があったからな」

 ――さっきまでいた『ハーヴィー』ははぐれたと言っていたのに。
 背筋が凍るような感覚。もう、何でも良いから早くここから出て行きたい。それを提案すべく、フレディは口を開いた。

「おい、もう行こうぜ」

 ぞろぞろと全員で外へ。
 廃病院からやっとの思いで外へ出たフレディは安堵の溜息を吐いた。ちらり、と少女を見る。彼女の顔はまだ蒼かった。
 何はともあれ、これで――

「忘れ物してるよ」

 ――ッ!?
 耳元で聞いた事も無いような声。ぎょっとして振り返る。

「え・・・?」

 そこには誰もいなかった。ただ、代わりに、恐らく回収しそこねたのであろう、まだ回収されていない蝋燭の光が廃病院の中でちらちらと揺れていた。