6.





「あっ、ハーヴィーさん!」

 見知った姿を見つけたフレディは叫んだ。正直、心細いのでこの際誰でもいいから再開もとい合流したかった。蝋燭を持っていたハーヴィーがその声に顔を上げる。先頭を歩いているのはシンシアだったが、彼女は微かに嫌そうな顔をした。

「こんな所で何やってんですか?」
「ああ、はぐれたんだ」

 そう言ったハーヴィーははぁ、と溜息を吐いた。お疲れのようである。確か、彼は運悪くコーディと一緒になってしまったので気疲れも半端なものじゃないのだろう。あれ、とエリオットが首を傾げる。

「サイラス達はどうしたんだい?」
「分からないな」
「えぇ・・・しっかりしてくれないかな、ハーヴィー。じゃあ、コーディは?」
「あいつはここから出て行った」

 断言したハーヴィーが忌々しげに舌打ちする。思わずフレディはエリオットを突いた。事務の彼の前で裏切り常習犯の話は禁句である。
 それに、どっちがはぐれたのかは不確定だが、ともかくCチームは四散しているらしい事も判明した。そもそも、泥酔していたエリオットが一人でふらふらしていた時点である弟殿予測はしていたが。

「はぐれた、って・・・ハーヴィー、そんなお馬鹿だったっけ?」
「失礼な小娘だな。お前だって1人でウロついてただろう」
「それは、貴方達が私を驚かすから、足を踏み外して――」

 どうやらシンシアとハーヴィーの間で何やらトラブルがあったらしい。どう聞いてもシンシアは悪く無い気がするが、ハーヴィーは涼しげな顔をしている。

「何でもいいけどさ、コーディいないなら次はサイラスを捜しに行かないと。僕、彼に滅茶苦茶迷惑を掛けた気がする・・・」
「間違い無くそうでしょうよ。ほら、あんた蝋燭持ってんだから、前歩きなさい、ハーヴィー」
「だそうだ、お前が前を歩け」

 何故か蝋燭をシンシアに持たせたハーヴィーは最後尾まで下がった。何だろう、違和感が拭えない――