4.





 ここでまた喧嘩させるとエリオットを完全に見失う気がしたので、慌ててサイラスは間に割って入った。規律を重んじるハーヴィーと裏切りまくるコーディでは元々馬が合わないのは当然なのだ。

「まあまあ、落ち着きなさいよ。こっちの古い蝋燭はコーディにやるから。もう喧嘩せずに帰りなさい」
「最初からそうしていればいいものを」
「はいはいはい」

 半分くらい燃え尽きた蝋燭を渡す。まさかこんな場所で迷うはずもないだろうし、本人が1人でいいと言うのならそれで問題無い。やや不機嫌そうな顔をしているハーヴィーも反論するつもりは無いようだ。

「・・・行くぞ、サイラス」


 ***


 やや探索して見つけたのは音楽家――ではなく、先発のBチームだった。割と賑やかに話ながら進んでいる。もしかすると、もっとも地雷の少ないチームなのかもしれない。

「合流するか?」
「そうだねぇ・・・エリオットの件もあるし、一応見つけたら連絡しろとは言っておいた方がいいだろう」

 丁度、サイラスの視界に最後尾を歩くシンシアが写る。気丈なもので、少女に怖がっている様子は無いどころか、見た所サヴァナよりしっかりしている。人間とは分からないものだ。
 いつもの癖で足音を立てずにシンシアを追い掛けて行ったサイラスはその小さな肩に手を置いた。後ろからゆっくりとハーヴィーが着いて来ているのが分かる――

「っ!?」

 声にならない声を上げたシンシアが驚いたように真横に跳ねた。まったくもって素晴らしい反射神経だし、何より怖がって立ち止まるのではなく瞬時に戦闘態勢を取ったのは圧巻の一言だ。
 ――が、場所という概念はすっぱり頭から抜け落ちていたらしい。
 メキッ、という嫌な音と共に腐っていたらしい床を踏み抜いた。ぎょっとしてサイラスはその場に立ち止まる。前では異変を察したカーティスが振り返った。