4.





 そういえば、と沈黙を破って不意にハーヴィーが口を開いた。しかし、その目は前だけを見ており話し掛けている人間をちっとも見ちゃいない。彼のそういう不躾なところは今に始まった事じゃないが、話をする時は目を見て話をするべきである。
 そういった諸々の感情を心中に押し込み、サイラスは何だ、と尋ね返した。

「お前、シンシアと生活圏が被っているな?」
「んー・・・そうなのかねぇ」
「フレディ程ではないが、お前もよくシンシアと連んでいる」
「いや、あれは、行く所行く所にシンシアちゃんがいるのさね。まあ、逆もそうだろうけれど」
「だから、生活圏が被っているのだろう?」

 ――言われてみればそうかもしれない。
 会った先で一緒に行動、という程仲良くはないがそれでも一言二言は話すし。というか、何処へ言っても大概彼女は眠たそうにしているので途中で寝落ちするのだ。

「ふん、あの小娘なら会ったとしてもすぐ寝てしまうだろう」
「そうだねぇ。おじさんはあの子の将来が心配になってくるよぉ」

 奴の睡眠欲はどうなっているんだ、とコーディが溜息を吐いた。溜息のよく似合う男である。

「シンシアちゃんの睡眠欲なんかより、おじさんとしてはどうしてあんた等がこの企画に参加してるのかの方が気になるんだけどね」
「ふん、ボスがいなければ参加などするものか」

 呟きにあっさり納得する。コーディは何も言わなかったが、ハーヴィーと同じ意見なのだろう。サイラスは相棒のカーティスに引き摺られるテンションで参加したので、別にメンバー編成を除けば不満は無い。