3.





 それにしても、とカーティスが小さく首を傾げる。

「ちょっと寒ぃな。俺、あまり飲んでねぇはずなんだけど・・・」
「飲んだら暑くなるんじゃないかしら?」
「あれ、そうだっけ・・・?」
「ちょっと止めてよ。カーティスまで酔ってるの?」

 可笑しいなぁ、と首を捻る彼はしかし、すぐにそんな事はどうでもよくなったのか呑気な笑い声を上げた。

「風邪じゃないの?不摂生そうな生活してそうだし」
「俺、シンシアちゃんにそんな風に思われてんだなぁ・・・。何だよ、不摂生そうって」
「顔からして――」

 ――ぎゃああああああああ!!
 どこからか聞こえて来た悲鳴に足を止める。それが恐いとは思わなかった。おどろおどろしいものではなく、明らかに人間が発した声だったからだ。
 あらあら、と微笑ましそうな顔をするエドウィン。

「楽しんでるみたいねえ。・・・サヴァナ?静かだけど、大丈夫?」
「ああうん・・・大丈夫・・・大丈夫・・・たぶん・・・」

 ――あっ、これ大丈夫じゃないやつだ。
 先程よりさらに顔色が悪くなっているサヴァナを見て漠然とそう思った。これは、フレディが何か『見て』しまった時の顔にそっくりである。まったく想像出来ないが、もしかすると彼女も極度の怖がりなのかもしれない。
 ここで、空気を読んだカーティスが提案する。

「蝋燭の近くにいろよ、サヴァナ。そっちの方が明るいだろ」
「そうよぉ、おいでサヴァナ」
「あ、じゃあ私は後ろ歩くから」

 こうして隊列のようなものが出来上がった。とは言っても、ほとんど固まっており一歩半後ろだったり前だったりと大して違いがあるようには見えなかったが。

「本気で怖がってる奴の反応だな・・・」
「そういうものだよ、カーティス。ここでキャーキャー騒ぐ女の子は1ミリだって怖がってないんだからね」
「化け物より女の方が怖ぇよ」