3.





 10分を数え、すでに院内へ入っていたBチーム。エドウィン、サヴァナ、シンシア、カーティスが組んでいるメンバーだ。ちなみに2階から回っているのでAチームとはまったく反対の方向へ歩いて行っている事になる。

「貴方、本当に意味の分からない度胸だけはあるのね」
「悪いね、エドウィン。俺だってたまにはやるのさ」
「結構頻繁にやらかしてるでしょ」

 クツクツと悪い笑顔で嗤うカーティスへ視線を移したシンシアは小さく溜息を吐いた。彼等が何の話をしているのかは分かっている。とんだ悪ふざけの話だ。

「やっぱり――ボスは全然驚かなかったわね。アレンには勘付かれてそうだけど、ボスも気付いてるんじゃないかしら」
「そうだよなあ。ま、咄嗟に思いついたギミックだったし、やっぱり脱落させる事は出来ねぇよな」
「そんな深刻な話だったっけ・・・?」

 大人2人がうんうん、と頷くのに動揺を隠せないシンシア。彼等の神経は割と理解不能な場所にある。
 ――そう、先程院内の使い捨て注射器を吹き飛ばしたのはカーティスの銃弾だ。廃病院なので窓硝子は全て撤去されていたため、院内へ転がり込んだ銃弾は偶然にもゴミを吹き飛ばしたのである。
 しかし、子供であるシンシアの目から見れば――

「悪ふざけだよ」
「行事は楽しまなきゃならねぇのよ、シンシアちゃん」
「楽しみ過ぎ。私より楽しんでるよね、あなた達」
「もっと楽しんでいいのよぉ、シンシアちゃんは。ちょっと冷め過ぎてるとこあるから」

 冷めるも何も、元来怖いモノに耐性のあるシンシアはちっともこの企画に恐れを抱いていなかった。正直、フレディが適当に言い出した企画である。組織のメンバー全員を巻き込んで大掛かりにするとは思っていなかった。