2.





 それから数分もしないうちにふとアレンが足を止めた。彼はまったくと言っていい程に現在までの過程を怖がっておらず、笑いながら過ごしている猛者である。
 そんな彼が足を止め、深刻そうな顔をすれば自然と場の空気もシリアスなそれへと変わっていく。正直、さっきの小爆発の後から雰囲気は葬式のようにしんみりとしていたが、それに拍車が掛かった。

「どうした?」
「・・・嫌な、気がします」
「ほう」

 《星読み》の能力を持つアレンがそう言ってもトラヴィスの態度は一貫して変わらなかった。ただ淡々と部下の報告を聞くだけ。足を止めようともしなければ、脱出を提案したりもしなかった。

「えぇ?おい、アレン。それって何だよ――」

 ――くすくすクスくすくすくすクスクス。
 何だか歪なそれでいて高く澄んだような笑い声。耳元で聞こえたような気もしたし、ずっと遠くから反響したようにも感じる。

「ぎゃあぁぁぁぁあぁぁぁ!」

 悲鳴が誰のものであったのか特定するのは簡単だ。まずは自分、アドレイド。もう一人はフレディ。そして同時に適当な方向へ走り出したのも以上2名だ。
 蝋燭は、光源は――言うまでも無く、トラヴィスが持っている。