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「理由を説明しなさいよ、フレディ!くだらない理由だったら帰るわ!」
アドレイドの抗議に溜息を吐いたフレディは至極当然そうで、更に爽やかな笑顔のままに答えた。
「シンシアがやった事無いって言うからよ。こういうのも悪くねぇなと思って」
「ハァ!?というか・・・なんでボスまで・・・」
「ボスは話をしたら興味を持って何やかんやで着いて来た」
帰る、と言ったアドレイドだったがさすがにボスの手前、勝手に帰る事が出来ないようだった。彼が騙されているのであれば誤解を解いて解散させようと思ったのだろうが、残念ながらトラヴィスは自分の意志でここにいる。
「ねぇ、フレディ。眠い・・・」
「いや寝るな。今からチーム分けのくじ引きするぜ!あ、ボスからどーぞ」
いつの間に用意したのか、小さめの箱をトラヴィスに差し出すフレディ。箱の中に手を突っ込んだボスが掴みだしたのは白い小さな紙片だった。『A』と書かれている。
――『A』だけは引いちゃだめだ。
周りのメンバーからそんな念を感じたシンシアは大人しく身を引いた。残り物には福があると知っていたからだ。
かくして。
それぞれ引いたアルファベットを見て悲鳴と歓喜の声、それぞれが同時に上がった。
「これが言い出しっぺの法則、ってやつかよ・・・大丈夫か、このメンバー」
「おや、フレディくん。わたくしがメンバーにいるのは不服ですか?」
「いやいや、そーゆー問題じゃねぇだろ」
「あんた、シンシアと組めるように小細工とかしなかったのね。馬鹿なの・・・?」
Aチーム。トラヴィス、アレン、フレディ、アドレイド。あからさまに紅一点の彼女の顔色が悪いものの、誰もそれに触れる事はなかった。
続いてBチーム。
「きゃぁああぁぁあ!何この奇跡!」
「本当に奇跡的だな、これ」
「う、うわぁ・・・何か眠気醒めた・・・」
「独り身同士仲良くしようぜ、シンシアちゃん」
「遠慮します」
カーティス、エドウィン、サヴァナ、シンシア。随分喜んでいるエドウィンの横でサヴァナがえらく大人しいのが気掛かりなチームである。
「余所は平和でいいねぇ。このメンバーに入るぐらいなら、Aにいた方がまだマシだよ。おじさん、くじ運は良いはずなんだけどねぇ」
「ふん、裏切り者め。精々、背後には気を付ける事だな」
「はっ、君は相変わらず堅物だな。まあ、返り討ちに遭わないようにしたまえ」
「あはははははははははははははは!何か視界が回ってるなぁ」
「酔ってるのかね、エリオットは・・・」
Cチーム。ハーヴィー、コーディ、サイラス、エリオット。なお、エリオットはここへ来る前にかなり飲んでいるらしく、千鳥足だ。