1.





 深夜1時。よい子はすでに眠っている時間。
 何故か組織のメンバーはスラムの端にある、廃病院を訪れていた。緊張感も無く眠くて堪らない目を擦り、事の発端である保護者――フレディを見やる。
 彼の周りにはシンシアと同じく不満を持ったメンバー達が不満顔で苛々と舌打ちしたり貧乏揺すりをしたりと荒んだ光景が広がっていた。

「ちょっと!いい加減、ここに集まったわけを説明しなさいよッ!」

 口火を切ったのはアドレイド。肌荒れがどうの、と喚いているがそう言う前に来ないという選択肢は無かったのか。首を傾げるシンシアの視界の端に、今現れたらしい最後の一人が姿を現す。
 ここにいる人数は11名。それにもう一人が加わって、12名。全員集合かよ!と誰かが叫んだが、最後に加わったのはトラヴィスだ。ようやく嫌だ嫌だと言いながらも全員が集合した理由が分かった。
 そこで、ふふん、と何故か得意気に笑ったフレディが一歩前へ出る。途端、静まり返る周囲。寝る時間を削られているせいか、殺意さえ感じる。

「ここに集まったわけ・・・説明するぜ!夏の一大イベント――もう分かるよな?」
「分からん。早く説明しろ。首と胴が泣き別れする前にな」
「恐ッ!ハーヴィーさん怒りすぎだろ・・・。ほら、あれだよ、あれ!肝試しだよ!」

 とんでもない爆弾発言。同時に上がった声はそれぞれ正反対の意を示すものだった。

「ほー、面白そうだねぇ。おじさんは好きだよ、そういうの」
「だよなぁ。さすがは相棒。つか、フレディもたまには面白い事考えるのな」
「一緒に回りましょ、サヴァナ」

 手を叩いて喜んだのはサイラス、カーティスに加えエドウィン。しかし、抗議の声を上げた者もいる。ハーヴィーにコーディ、アドレイドだ。

「ふざけるな。そんな事の為に俺を呼んだのか、フレディ?」
「いやぁ・・・えへへ」
「まったくだな。僕は明日、早いんだ」
「冗談じゃないわ。やりたいならシンシアだけ連れて行けばいいでしょ」

 こんな所で名前を出さないで欲しい。しかし、その訴えをアドレイドにする勇気は微塵も出なかった。