10.
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廊下は閑散としていて静かだ。この分ならば、フェリクスの言う通り食堂もまた静まり返っている事だろう。今日は人が来ないと思っておばちゃんが店仕舞いをしていなければいいのだが。
「今日の日替わりは何かな〜」
「見てないの?」
「うん。だってさ〜、朝からそんな暇なかったでしょ?」
生き残りのメンバーが召集された時間はかなり早い。確かに、悠長に今日の献立を眺めている暇は無かった。
そう言えばさ、とフェリクスが口を開く。
「あの体育館にさ〜、いた人間の中に、少なくとも4人は《憑者》がいるんだよねぇ」
「・・・そう言われるとゾッとする光景だね」
「うんうん。そうだよね〜。でもさ〜、俺、割と人外の目星付いてるかも〜」
「は!?」
何故彼はそういう重要な事を私に話すのか。
本気で頭を抱えたくなったものの、それを堪えて自然、フェリクスを諭すように問う。
「ちなみに・・・誰が《憑者》だと思ってるの?」
「ラウラちゃんとデュドネ先生」
「ねぇ、話聞いてた?デュドネ先生に至っては《解析者》かもしれないんだよ?」
「先生はね〜、言い出すタイミングが怪しすぎるよねぇ。ちなみに、ラウラちゃんが《憑者》っぽいのは〜、勘かなぁ」
「勘!?よかったよあんたがそれをあの場で言い出さなくて!」
酷い言いがかりを見た。何の根拠もなく、ラウラが《憑者》だと決めつけていたのか。驚きのあまり目を白黒させていると、フェリクスがケラケラと笑った。
「まあ・・・どっちが《憑者》でもいいかなぁ。俺とは直接関係無いしね〜」
「クラスメイトでしょ・・・」
そう言ってはみたものの、やはりフェリクスは関係無いと笑った。ここまで色々欠落していると、いっそ清々しい。クラスメイトは大事にしろ、と喉元まで出掛かった言葉は、結局言の葉にはならなかった。