4日目

9.



 オズウェルの件だが、とエルバートが口を挟んだ。クラスB担任の彼が仲介に入った事で自然とオズの眉間に皺が寄る。基本的に担任の最優先は自分のクラスだ。それが、違うクラスの生徒に絡みに行く、というのは難癖を付ける可能性が高い――
 そんなクラスAの視線に気付いたのか、エルバートは溜息を吐いて首を振った。

「お前の件はセレスティアから話を聞いている。俺はお前が《予言者》である事を否定しない」

 ――セレス繋がりか。
 妙に納得した。廊下で何か話していたのはその件の事かもしれない。

「じゃあ、とりあえずオズウェル君の役職は確定って事にしておこうか。他に誰も名乗り出ないしねえ」
「ああ、それでいいんじゃないか。良かったな《予言者》も生きていて」

 デュドネが嬉しそうに微笑む。先程までヘルヴィと言い合っていた空気など微塵も感じさせない。

「ハッシュ君が《憑者》だったとして――まだ後、4人はいる事になるよね」

 それを聞いたフェリクスがそう言えばさ、と話を切り出した。その目はラウラを見ている。

「ヴェーラちゃんと〜、ラウラちゃんもさ〜多分どっちか《憑者》だよねぇ。今のうちに処分しちゃった方がいいんじゃないの〜?」
「どっちを処分するのさ・・・」
「だから、どっちも処分した方がいいって〜。それとも、オズくんにどっちが《憑者》なのか訊いてみる?」
「《予言者》ってそういう役職なの?」
「ううん〜。違う」

 話にならない。これ以上、人間を減らさない為にどちらも生かしておくと『保留』になったはずなのにフェリクスはそれに納得していないようだ。
 それどころか、多少の犠牲は構わないとでも言い出しそうな空気だ。

「ねぇ、フェリクス。さっきの話聞いてた?保留になったんだ、って」
「そうだけどさぁ、ぶっちゃけ《予言者》生きてたし〜、危険因子はさっさと殺した方が安全だと思うんだよね〜」
「あの2人のどっちかが《予言者》だと思ってたの?」
「うーん、そういう可能性もあるかな〜とは思ってたよ〜」

 などと言い合っているうちにエルバートの話が終わる。ほとんど聞き流していたが、とりあえず解散になった事だけは聞いていた。

「授業休みになっちゃったし〜、食堂行って何か食べようよ」
「この空気でよくそんなのんびり出来るね」
「当たり前じゃ〜ん。混んでない食堂はいいよねぇ」

 ――この状況を楽しんでる・・・。
 人がいない、すかすかの食堂。その方が公共施設として使いやすい、そう言う親友に心底戦慄した。