4日目

8.



「――ならば、この件も保留だ。いいな?」

 ややあってそう宣ったのはエルバートだった。《解析者》をそこまで重要な職とは思っていないようで、その言葉に躊躇いは無い。

「保留、ね。そうしようか。それでいいかい、お二人さん?」
「ああ、俺は構わない」
「了解しました」

 デュドネとヘルヴィが同時に頷く。どちらかが騙っているというのに空気は至って平静だ。大人の貫禄、と言う奴なのだろうか。

「保留になったのか?なら、俺から報告がある」

 堅い声音。先程から驚きの連続で静まり返っていた集会所にそれは蕩々と響いた。視線が一斉に声の主――オズウェルへと集まる。クラスAの輪にも加わらず、今までのやり取りを一歩下がった所から視ていた彼へと。
 そんな秀才に何だい、と聞き返したのはやはり担任だった。

「・・・俺は《予言者》だ。ちなみに、ヘルヴィ先生には死相が出てる」
「――へぇ」

 エヴァンの目が爛々と輝く。教え子の一挙一動を見逃さんとするように。
 う〜わ〜、と隣でフェリクスが気の抜けるような感嘆の声を上げる。心底尊敬している、とでも言いたげな雰囲気だが、付き合いの長いアイリスは実に大袈裟だと肩を竦めるのみだった。

「このタイミングで言うんだ〜。凄いよねぇ。吃驚しちゃう程空気読めないなぁ」
「バッチリタイミングだと思うけど?」
「タイミングが良さ過ぎて〜、逆に信憑性が無いよねぇ」

 ――それは・・・そうかもしれない。
 このタイミングで《憑者》が嘘をねじ込んで来るとは考え辛い。だとすると、オズウェルの発言は実に適切なタイミングだったと言えよう。
 けれど、あまりにもタイミングが神懸かり過ぎて、逆に怪しい。

「恐いよねぇ〜。このまま、俺達は誰も信じられなくなっちゃいそうだよ」
「・・・本当だよ」

 そういう兆候は前々からあった。親友の挙動がいちいち怪しく感じ始めたあたりから、この空間は毒でしかないと。