2日目

6.



 昼食を終えた一同は日が暮れる前に帰りたいので、という事で早速シャールカの部屋を目指していた。葬式のように暗いアイリス、随分と足取りの軽いフェリクス、そして動揺どころか何の感情も伺えないハンス。
 このメンバーで大丈夫だろうか。いや、フェリクスとハンスは何があっても平気な気がするが、はたして自分は無事、明日を迎える事が出来るのだろうか。とても不安になってくる。

「恐い?それとも、僕達の方が恐いのかな?」
「え〜、何それ〜。ワケ分からないんだけど〜」

 ハンスの嗤いを含んだ問いに、フェリクスが不満そうに口を尖らせる。この二人、初対面らしいがそれなりに気が合うようだ。剣呑な雰囲気にならないのはいいが、二人してこちらをからかって来るのは実際かなり面倒である。
 別に、とアイリスは肩を竦める。ハンスの言葉はどちらも正しいが、それを暴露する程に冷静さを失っているわけではない。

「あれ?お前等何やってんだ・・・っていうか、珍しい組み合わせだな」

 計ったかのようなタイミング。意気揚々、溌剌とそう言って来たのはイザイアである。元気そうだ。彼もハンスと同様、割り切るタイプらしい。
 ともあれ、主人を見つけた犬のような身のこなしで珍しげにこちらへ近寄って来るイザイア。

「今からシャールカの部屋に行くんだけど・・・君も来る?」
「・・・えぇ?見つかったら怒られるどころの話じゃねーぞ?」
「知ってるよ〜、そんなの。着いて来ても構わないけど、あまり騒がないでよね〜」

 咎めるようなフェリクスの口調にイザイアが自嘲めいた笑みを浮かべる。

「さすがさすが、Aクラスの言う事は素晴らしいなあ。俺も見習いたいぜ」
「別に、俺達は優等生ってわけじゃないよ〜。規則なんて破りまくってるし〜。まぁ、成績良いからあまり怒られないけどね」
「それは知りたくなかったぜ・・・」

 俺もクラスAに籍入れようかな、と言い出したイザイアの頭を叩く。CからAに上がれる確率はそこはかとなく低いし、何より馬鹿クラスを疎ましく思っている優等生はたくさんいる。わざわざ苛められに行く必要はどこにもないだろう。

「好きにすればいいと思うよ。僕は来年からたぶん、Aだからね」
「そうなの〜?じゃあ、アイリスも来ればいいよ〜」
「いや、ハンスは転校生だから。来年、ちゃんとしたテスト受ければ上がれる可能性あるけど私は根っからのCクラスだからね・・・」

 戦闘評価は万年C。このままクラスAに上がれる可能性があるとすれば、魔法研究に大いに貢献し、実用的で効果的な魔法を組み立てるとか、何かしらの賞を取らねば無理だろう。
 そして会話に混ざりつつ着いて来るイザイアは多分、このまま目的地まで着いて来るのだと思う。自然に馴染んでいるし、放って置いていいか。