3.
欠席出席の話が終わったと思えば担任はとんでもない事を言い出した。
「昼は休講になった。課題なんかは出さないから、十分に気を付けて過ごしてくれ」
当然の処置のような気もするし、授業やってる方が安全なのでは、とも思う。けれど、教師連中もてんてこ舞いに違い無い。クラスCでこの人数という事は他クラスにも死者が出ているかもしれない。
――ともかく、シャールカの事が気になるのでデュドネにどういう風に、どうなって今はどうしているのか訊く必要がある。
話が終わり、やるせない様子のクラスメイト達が教室に残っていたり、さっさと帰ったりしている中、アイリスは担任に詰め寄った。普段は大人しい生徒だと思われているからか、目を白黒させている。
「あの・・・っ、シャールカは・・・」
「・・・彼女は俺が朝から死亡を確認したよ。最初に発見したのはエヴァン先生だけどね」
「その、様子は?様子はどうでしたか!?」
「寮の自室に倒れていたそうだ。他にも手が回っていなくて、現場はそのままだから、絶対に行かないように」
寮の自室。
背筋が粟立つのを感じた。昨日、フェリクスを「友達だから」、という理由で部屋に入れた。それと同じ事をして、シャールカは殺されたんじゃないだろうか?
――或いは、戸締まり。シャールカの部屋はアイリスの部屋の2つ隣である。つまり、1階だ。1階に限らず、生徒は窓に鍵を掛けない事が多い。それを狙われた可能性もあるだろう。
「それにしても、驚いたな。君がそうやって俺に突っ掛かって来るのは初めてだ」
「そりゃあ・・・この異常事態ですし、異常な事が起きても・・・」
「いや、俺は少しだけ嬉しいよ。何にでも冷めてるところがあるからな、君は。じゃあ、俺は今から会議に出なきゃならないから。もういいかい?」
「あ、はい。引き留めてすいませんでした」
「何かあったら訊くといい。あまり答えられる事は多く無いかもしれないが」
歩いて行くデュドネの背が少しだけ寂しそうに見えた。
――しかし、それはアイリスも同じである。シャールカの身に起こった出来事を知り、段々と彼女が死んだのだと脳にその言葉が浸透していくようで。でもその裏で、おはよう、とかおどおどしながら出て来るんじゃないか――
「アイリスっ!まだ教室いたの〜?今日、休講だってさ。どこか行こうよ!」
「・・・ちょっと、空気読んでよね」
廊下から顔を出しているのはクラスAのフェリクスである。どうやら、いつまでも現れないアイリスに我慢の限界を迎えたらしい。