05.
***
仕事を全て終えた私達は一旦ギルドへ戻った。というのも、フェリアスさんに貰ったカメラを取りに行ったのだ。
現在の時刻は午後8時。何があったのかは忘れたが、色々な事に時間を取られた結果である。すでに外はかなり暗い。夏でなければ真っ暗だろう。
「ね、ね、イザークさん。どこが綺麗に星見えるかな!?」
「ちょっと、興奮しすぎ。流星群ってそんなぱっと始まってぱっと終わるもんなの?そうだな、砂漠の国のオアシスとか、海、とか……?よく見えると思うけど」
「自信無さそう」
「そりゃ僕だって実物なんて見た事無いし。そもそも流星群って、流れ星が何かたくさん見えるって話でしょ?」
「そこから!?」
駄目だ、騎士として生きて来たイザークさんは娯楽関係に疎い。私がしっかりしなければ。とにかく、まずはオアシスへ行って行けそうなら海原のど真ん中にでも。一度巨大な魚に呑み込まれた過去が甦るが、忘れる事にした。
「よし、まずはオアシスへゴー!」
「こらミソラ!裏で――」
偶然居合わせたコハクさんが私のそそっかしい所を注意したようだったが、一瞬で声が聞こえなくなる。代わり、足の裏に感じる砂の感触。
「うわ、寒い。砂漠って日が落ちたら本当に寒いんだ……」
しみじみとそう言ったイザークさんが私の『バリア』内に入って来る。
私は空を見上げた。
「すっごい、星すっごい!」
流星群とか関係無く、夜空では最高に星が瞬いていた。機械の国では電気のせいで夜空が明るすぎるせいか、星などあまり見えないがここ砂漠の国は違う。
周りに電気の明かりがない。オアシスの中心にある水場でさえ星が写って輝いている。1つ1つの星がはっきりと見えるのだ。
「感動するのも良いけど、流れ星は?あー……流れてるような……1つ2つ?」
「あ、流れてる流れてる」
じーっと見ていると1つ2つ空から落ちて来ているように錯覚する。思わぬ星の綺麗さに、流星群関係無く満足してしまっている自分がいる事に気付いた。
「と、取り敢えず星空でも撮っておこうかなあ。綺麗だし」
「はいはい」
「フェリアスさんに自慢しよ」
シャッターを切る。写真が出て来たのをイザークさんに渡して、もう一度シャッターを切った。
「イザークさん、次は海に行こうよ。ぶっちゃけ、星って海ではどう見えるのか気になる」
「いいよ。面白そうだし。けど星を見るなら雪の国は避けた方が良いね。雪が降ってるって事は、曇ってるって事だし」
「分かった」