Short Short

021.

(上鶴/須藤/折竹)

「あ。洗濯バサミの持ち手が取れちゃった。もう古くなってたのかなあ」
「んなわけあるかい!お前また備品壊したな!須藤!!」
「ぎゃんぎゃん煩いよ、聡。ただでさえ部室は狭いのに」
「聡〜聡〜、すまん、雑巾引っ掛けるやつ、変な方向に曲がってしまったけん直してくれんね」
「それ折れとるやんけ!おまっ・・・お前等、備品は大切にせぇ言うてるやろ!!」
「悪かったって言ったはずなんだけどな」
「何やねんその高圧的な態度!誠意が微塵も感じられんわ!!」
「あっ!聡、お前の名札踏んだら割れた。明日購買で買って来るけん、ごめん」
「お前等さ、ホント息するように物壊すなあ・・・」


022.

(葉木/上鶴)

「清澄くん、清澄くん。指の力ってある方かな?」
「なんね、いきなり。まあ、葉木ちゃんよりはあると思うけど」
「いやね、修正テープの中身を入れ替えたいんだけど、何だか開かなくて。おかしいなあ、書かれた通りの場所に力を入れてるのに」
「成る程ね。貸してみらんね、開けてやるけん」
「そのぷっしゅ、って書いてるところを押すんだよ・・・え、ちょっと清澄くん?私の話聞いてた?変な所に力入れてない?」
「え?・・・お、外れた。にしても確かに入れ替えさせる気の無い固さやったね。女の子にはちょっと厳しか」
「・・・清澄くん。これ、明らかに開いちゃいけない所が開いてるんだけど・・・というか、割れてない・・・?アーチの部分折れてない!?」
「あちゃー。えらい固かね、っち思っとったらプラスチックの固さやったかー。うーん、なんか最近、壊した物の弁償ばかりしとる気のするよ」
「いいよ、弁償なんて・・・。たかが修正テープだし。それよりメーカーに文句を言いたい。女子の指圧舐めんなって」


023.

(仙波/鹿目)

「ああもう、変な所を虫に刺されたわ」
「ふむ。通りで少し君はムヒ臭いと思ったよ」
「え!?ムヒの臭い、する?」
「ああ、するな。少し鼻の奥が痛くなってくるくらいに」
「あら・・・でも、それは私じゃないかもしれないわね」
「と言うと?」
「私の席の後ろの子が携帯ムヒの中身をぶちまけてしまったのよ。片付けるの手伝ったし、教室も一時はムヒの臭いが充満していたから、そのせいかもしれないわね」
「・・・ふむ。教室の臭いが消えたのではなく、君の鼻が馴れてしまったのかもしれないな」


024.

(折竹/鈴島/葉木)

「あー、移動教室怠いわ。誰かあたしの代わりに歩いてくれんやろか」
「あ?車椅子で運べっちゅー事か?お前重いやんけ、絶対嫌や」
「あたし運んだ事無いやろアホ。上鶴は軽々担いで行ったわ」
「アイツ力強すぎんねん・・・」
「どうして清澄くんが美鳥ちゃんを運ぶ事になったの?」
「葉木さん、アホなんやで、コイツ。運動部のくせして練習中に熱中症でブッ倒れてんの。何で暑さに倒れとんねんひ弱かて!」
「えー、大丈夫だった?美鳥ちゃん」
「あー、もうほんま壱花は優しいなあ!どこかの誰かとは大違いやボケ!でもあたしを運べるって事は壱花の事も運べるんやろうな、上鶴」
「清澄はたぶん俺も司も運べるんとちゃう?今度持たせてみようかな、部長権限で」


025.

(兼山/鹿目)

「鹿目先輩。私、今日、筆記用具を全て忘れてしまったんですけどペンと消しゴムを貸してくれませんか?」
「・・・君は、どうして俺にそれを相談するのかな?」
「月原先輩が鹿目先輩は消しゴムのストックを2つ以上持ってるって朝会った時に教えてくれました。・・・あ、部室に筆記用具忘れてきたのかな・・・?」
「部室?何の部に所属しているんだい」
「はぁ?・・・ああ、今日ってまだ先輩とは一度も会ってませんでしたっけ。私、心研部部員の兼山由衣です。ああ、もうこのやり取り何度目だろ・・・」
「ああ、部員だったのか。何故後輩が俺に親しげに話し掛けてくるのか分からなかった」
「先輩みたいな怪しげな人に何も知らない2年が筆記用具が無いって理由だけで話し掛けたりはしないと思うのですが・・・」
「心外だな。俺はクラスでは常識人で通っているのに」
「外見の話をしているんですよ、鹿目先輩。背は高くて大きいし、目が合ったら『退け、小娘』とか言い出しそうじゃないですか」
「君は漫画の読み過ぎだ」


026.

(比江嶋/芳垣/小住)

「あー、しくじった」
「うわ〜、朝からご機嫌斜めだね、千彰」
「いや、ケータイ充電し忘れてたんですよ。マジでテンションがた落ちですね」
「元気出せよ、千彰。俺も3DS充電し忘れてテンション落ちてっから」
「お前と一緒にするな。3DSなんてケータイ弄ってる間に充電して、ケータイの充電が尽きたら今度はDSするって無限ループ出来るだろ」
「あ〜、それは俺もやるね〜。俺はDSじゃなくて〜、vitaだけど〜」
「貴夫先輩ゲームとかするんすか?」
「するよ〜。テレビゲームはねぇ、リビングにしかテレビ無いからやらないんだけど〜」
「先輩。だったらDVDプレイヤーと繋げばいいですよ。別売りのコードが1本必要ですけど」
「さすが、千彰はそこんとこ詳しいよね〜。今度さぁ、うちのプレイヤーでプレステ出来るかチェックしてみてよ〜」
「はい。あ、オススメのソフト貸しましょうか?」


027.

(須藤/葉木/仙波)

「やっぱり、お盆過ぎに海は行けないわね。クラゲが・・・」
「いきなりどうしたの、珠代ちゃん」
「ちょっと海へ泳ぎに行きたいと思ったのだけれど、やっぱりお盆の後はダメねって話よ」
「そうそう、止めた方が良いよ、仙波さん。俺の友達も海で何とかってクラゲにやられてぽっくり逝っちゃったんだよねー、って言ってたし」
「お盆終わってるからその友達にはあの世へ帰るように言いなさい」
「あーうんうん。うちのおじいちゃんも夢の中でお盆過ぎの海は止めとけって言ってた気がする」
「張り合わなくていいわよ、壱花」


028.

(鹿目/上鶴)

「そういえば、万年筆を買ったんだ。これは書きやすくていいな」
「ああ、お前はそういうの使いそうな顔ばしとる」
「最近よく顔が恐いだの何だのと言われるが、俺の顔はそんなに恐ろしいだろうか」
「背が高かけんじゃなか?俺も背が高いだけで小さい子には恐がられるとさね。それより、そいば俺にも貸してみんね」
「訛りが酷いな、いつもこうだったか?覚えていないが・・・それと、万年筆は貸さない。お前は壊しそうだ」
「そのネタ引き摺るね。まあ、盆で帰省したけん、そのせいもあるやろ。俺のばあちゃんとかもっと酷か。俺でもたまになんば言いよっとか分からんもん」
「ああ。俺もたまに何を言われているか分からないな」


029.

(折竹/瀬戸/葉木)

「じゃじゃーん、見てや、これ。ヨーグルト」
「雪かきホイホイ」
「せやで、俺が種菌から作った手作りヨーグルトやねんで!あ、瀬戸さんも食べてみる?まあ、味はあんませんけど・・・」
「いい」
「あ、いるて?瀬戸さんにも食べさせてやろ思て、わざわざ瓶詰めにしてきたんやで!何ならちょっと分けようか?」
「壱花ちゃんにあげよう、瓶」
「瓶かい!いや、これやるってなったらヨーグルト食べて中身空にせなあかんで?」
「・・・食べる」
「おお!ええ子や!まあ、瓶て結構値が張るから譲る事はでけへんけどな!」
「百均」
「あかんあかん、あれちゃんと蓋閉まらんからな、俺気になんねん」
「あれ、良い感じの瓶持ってるね。折竹くん。ちょっと桜ちゃん回収しに来たんだけど」
「えー、ヨーグルト一緒に食べる約束してたんやで?」
「保冷剤あげるから」
「冷たい」
「お前等ホント色々謎やんな・・・」


030.

(葉木/鈴島)

「あのね、美鳥ちゃん。伝えなきゃいけない事があるんだけど」
「・・・え?何?えらい深刻そうな顔してるやん」
「・・・スマフォが、水没しました・・・っ!」
「えぇ!?・・・あんたのケータイ、防水性じゃなかったっけ?」
「うっかり私の部屋にあるテラリウムの中にドボンしちゃったんだけど・・・何かこう、独創的で創造意欲を掻き立てられるからそのままにしてきた。もう多分使えなくなってると思う」
「訳分からんわ!どうすんねんそれ!機種変するにしても、元のケータイなかったらマズイやろ!」
「と、とにかく構図だけスケッチして、そのうち描く事にしようと思うんだけど、でも実物あるならそれ見て描いた方が良いかなって・・・どう思う?」
「え?それはあたしにケータイを救出すべきか、せずに何日か不便な思いするか選べっちゅう事か。自分で決めたらええねん、そんなこと」
「いやそうじゃなくて、スマフォの色だけがあまり溶け込んでないから、青の部分を白に変えるか灰色に変えるかって訊きたいんだけど」
「知らんわぁぁぁ!!」