Short Short

001.

(葉木/仙波/兼山)

「たまにはバイキングもいいですね。格安で助かりました、お財布的に」
「仕方無いわ。大学生ならまだしも、私達は高校生。バイトが出来ればまた違うのだけれど」
「珠代先輩ってお小遣いとか貰わないんですか?」
「・・・貰うけれど、部活の関係で袴とか道着とか買ったから大分借金してるわね」
「え!まさかの、借金制・・・!」
「ちょっと、どうして笑うのよ」
「まぁまぁ。そういえばさっきから静かな壱花先輩はどうなんです?」
「え?何が?あ、そうだサラダ食べる?」
「壱花・・・あなた、さっきからサラダ何杯目?そんなに好きだったかしら」
「そうですよぅ。料理を食べましょう、料理を!」
「いやだって、ほら、海草がとってもキュートだと思わない?」
「海草が、とっても、キュート・・・?」
「何ですかそれ!ヤバイ、字面だけでもう笑えるんですけど!!」


002.

(芳垣/比江嶋)

「11月に新しいやつ発売するし、最後だと思ってポケモンやんね?」
「それ、俺に対戦しよう、みたいな感じの事言ってるわけ?」
「それ以外無いじゃん!あ、もしかして千彰・・・モンハンばっかでポケモン全然強くないとか?」
「確かめてみれば?」
 ***
「・・・あのさぁ、あのさぁ!」
「芳垣。お前弱過ぎ。接待バトル用のポケモンだったんだけど」
「お前・・・お前、バクフーン強すぎだろ!俺、ワザ一個も撃ってないんだけど!速いだろ、おかしくね!?」
「ああ、バクフーンは努力値とかよく分かんなかった時にS極振りしたから、そりゃ速いだろ。お前見事に鈍足ポケばっかだったし」
「日本語で喋って!頼むから!しかもさぁ・・・接待バトルって何だよ!」
「お前に勝たしてやろうと思ったんだけど宛が外れた」
「ワザも撃てずに初手で沈む俺のポケモン見て嗤ってたじゃん!接待!どこ行った!!」


003.

(葉木/上鶴)

「うう、足にマメ出来て痛い・・・」
「何ね、葉木ちゃん夏休みどこ行ったと?そんなに歩いて」
「ちょっと海まで・・・クラゲを見に」
「変わった理由・・・んん?うち、内陸やん」
「遠路遙々クラゲを見に行ったんだよ。そうしたら歩きすぎたみたいでマメが・・・」
「まぁ、よくあるこったなあ。俺も小学生ん時はよう出来とった。今は陸部始めて何年も経つけんそうでもなかけどね」
「3つぐらい合体してるんだけど、早く治す方法とかあるかな?」
「3つ!?」
「しかも両足。何か痛いっていうかピリピリするんだよね・・・」
「・・・皮膚科行ったがいいんじゃない?」


004.

(葉木/上鶴)

「清澄くんは夏休み何をしてたの?」
「うん?俺は盆に実家へ帰っただけやね。墓参りしに行かんばけん」
「へぇ。お墓参りって言っちゃなんだけど、こう、結構退屈だよね・・・」
「え?そうかねぇ。俺は結構好きやけど、墓参り。夜暗くなってからが本番っさ」
「えぇ、暗くなるまでいるの?」
「うんにゃ、夕方くらいに行って、灯籠セットする頃には真っ暗になっとるとさ」
「いや遅いでしょ、もっと早く行こうよ!」
「うん?なんで。日が高いうちに行ったら、花火がよう見えんやかね」
「花火!?冒涜的過ぎるでしょ!怒られるよ!!」
「葉木ちゃんはやらんと?笛ロケとか、ノーマル花火とか、打ち上げ花火とか・・・いやぁ、毎年俺んところの後ろの墓が派手な花火ば打ち上げっとよ。ムカつくけん爆竹ば投げたらメッチャ怒られた・・・」
「怒るっていうか、警察呼ばれるよそんな事してたら!!危険すぎ!!」
「そうなん?でも精霊流しん時はみーんな足下に爆竹投げるとけどね。不発爆竹集めて、紙の箱に詰め込んで、そいで火を着けたら火柱とか上がって楽しかとさ!」
「あっぶねぇぇぇ!!清澄くんの実家どうなってんの!?」


005.

(須藤/仙波)

「ちょっと聞いてよ仙波さん。君、動物好きだったよね?」
「・・・手短に話して」
「素直じゃないなぁ。それでね、昨日、ちょっとおつかいに行った時にちょっと子犬に追い掛けられたんだけど」
「ちょっと意味が分からないわ。どうしてそうなったのよ」
「俺を追い抜かして前に止まった車から飛び出して来たんだ。真っ黒くて毛がクルクルした小さな子だったよ」
「それで?」
「俺としてはどうしてだかこっちに走って来たわけだし抱きしめてあげようとしたんだけれど、屈んだ瞬間逃げられてね。後から来た飼い主にも謝られたんだけど、犬が纏わり付いてきた事より俺が近付いたら逃げたって方がムカつくよね。別に取って食いやしないのに」
「犬は動物だから、あなたの事が本能的にヤバイ生き物だって気付いたんじゃないかしら」
「君は俺に堂々と喧嘩売ってくるよね」
「怯えていたって仕方無いでしょう」


006.

(雄崎/芳垣/比江嶋)

「もー、聞いてくださいよ!先輩!」
「いきなりどうした、光」
「俺、昨日ちょっと出掛けたんすけど、ほらあの、歩道がちょっと途切れてる所とかあるじゃないすか、道に」
「ああ、店の出入り口とかの事だな」
「そうそう。そこを通ろうとしたら何か車が2台詰まってたんすよ。俺は車運転出来ないんでどういう状況なのかよく分からないんすけど――」
「車が連なってて道路に入れなかったんだろ」
「成る程。千彰の説明は分かりやすいな」
「芳垣と俺の語彙能力には越えがたい壁があるんで、当然です」
「あーもー!今はそれはいいんですって!で、続きなんすけど、俺は並んでる車の間を通り抜けようとしたんすよ。そしたらタイミング良く1台目の車が抜けて行っちゃって、2台目の車を横切る形になったんです」
「もうオチ読めたな」
「おい!・・・そしたら、その2台目の車がいきなり動き出しちゃって!信じられないっすよね、俺、運転手の目の前通ってたんすよ!?轢き殺す気かって話ですよ!!」
「む・・・それは確かに危険だな」
「へぇ。どんなのだった?」
「え?乗ってたのは40代くらいのババアだったけど・・・」
「違う。車のナンバー。お前、そんな目に遭ってて写メも撮ってないのかよ」
「千彰。咄嗟に写メろうとは俺も思わないぞ・・・」
「いえ、部長。俺だったら写メってますね。少しぶつかってくれれば御の字ってやつです。あとは骨折したとか言って――」
「当たり屋かよ!!」


007.

(須藤/上鶴)

「その手に持っとる櫛は何ね、司」
「え?お前の分け目を変えてやろうかなって思ったんだけど」
「意味が分からん。別に足り取るけん放っておいて欲しかとけど」
「昨日テレビで見たんだけど、ずーっと同じ分け目にしてるとそこからハゲるらしいよ、清澄。だからちょっとイメチェンしてみない?」
「なんば言いよっとかいっちょん分からんけど、そういうのって風呂上がりにやるもんやろ。今やってもすぐ戻るとじゃなかと?」
「いいじゃん。ちょっとやってみようよ」
「やぜ・・・。自分のでやらんね」
「そんな事言わずに!分け目変えたらモテるかもしれないよ!」
「やぜらしかっち言いよっとに。それに、司みたいにモテたら処理が大変やろ」
「処理って・・・あのさぁ、女の子も人間なんだけど」


008.

(鈴島/上鶴)

「この間、海水浴に行ったんよ」
「何ねいきなり」
「そしたら、クラゲには十分注意してたのに足やられてもうて、もう痛いのなんのって!」
「それはイラやね。まあ、イラは注意しとっても刺される時は刺されるけん仕方なか」
「はぁ?何やねん、イラて」
「え?あら、イラち言わんとかな・・・。海泳いどったら4本の糸みたいなもんが浮いとる事あるやろ?あれがイラ。水に浸かっとったら足以外は見えんけんね。注意したってあまり意味なかとさ」
「えぇ・・・マジか・・・見た事も無いし聞いた事もないわ・・・本名は何ていうん?」
「さぁ・・・俺は生まれた時からあの4本足の事はイラっち呼んどるけん、他の名前は知らんねぇ」
「何やその正体不明の生物!海って恐いわぁ・・・」
「ちなみに、それはどこでやられたと?」
「浅瀬や浅瀬。足首までしか浸かってなかったんに!」
「へぇ。普通そんなところにはイラもクラゲもおらんとけどね。何にせよ天文学的数値やん」
「あたし運悪いな!」


009.

(比江嶋/小住)

「先輩。・・・先輩。起きてください。何部室で寝てるんですか」
「・・・あれ!?俺寝てた〜?」
「寝てましたよ。練習に来ないからって部長がめっちゃ心配してましたよ。ほら、早く運動場」
「何かさ〜、千彰って俺の扱い雑じゃな〜い?」
「俺に母性本能とかありませんからね」
「うーん。そうだよねぇ。だって千彰はどっちかって言うと俺と似たタイプだし〜?言い方はキツイけどー、本当は世話焼いて貰う方が好きなんだよねー!」
「先輩と違って俺は誰でも良いってわけじゃないんですよ。カノジョいますからね」
「あ〜、そうだっけー。俺も作ろうかなぁ、カノジョ!」
「その作ろうと思えばすぐ作れる感滅茶苦茶むかつきますね」


010.

(須藤/雄崎)

「雄崎、ちょっといいかな」
「うん?お前が俺に話し掛けてくるのは珍しいな。光が何かしたか?」
「いや違うんだ。お前、3時間目のリーディング、宿題が変更になったの知ってた?」
「はぁ?何か変更したのか?」
「そうそう。係が訳するページを間違って背面黒板に書いてしまったんだ。今日の朝に書き直したらしいんだけど、雄崎も宿題、やっていないね?」
「そうだが・・・もう俺は素直に忘れたと言うぞ。今からの時間で宿題を終わらせるのは不可能だ」
「2人でやれば早く終わるって言うだろ。俺は一番下の行から訳すから、お前は一番上から訳してよ。後で交換して見せ合えばすぐに終わるだろ」
「それはいいが・・・何故俺にそんな話を持ち掛けてきたんだ?」
「誰と組んだら効率が良いか考えたんだけど、辞書さえ使えればすぐに訳が終わる雄崎なら3限に間に合うと思ってね」
「そうか。まあいい、その話に乗ろう」
「分かった。じゃあ、2時間目終わった後の休み時間までに半分は訳しておいてね」