STEP:2

02.


 それで、と綺麗な笑みを浮かべる須藤。それは確かに絵画の中にいる人間のように完璧な笑顔だったが、宏自身は血の気が引く音を鮮明に聞いた。彼は菩薩のような表情を浮かべているが、決してそのような性格では無い。断じて。

「結局、お前と彼女はどこまで進んだの?」

 どこまで。
 一瞬だけ考え、嘘を伝えるか否かを迷い、ややあって宏は真実を口にした。

「一緒に帰ってる。ほぼ毎日」
「へぇ。それで?」
「・・・いや、それだけだけど」

 少し驚いたように須藤は目を見張り、そして隣に立っていた折竹は苦笑した。上鶴は話など全く聞いていないのだろう、持っていた水筒を元の位置に戻す。

「えっと?方波見、それは付き合ってるって言わなくないかい?」
「せやな。ええやん、奥手結構、俺は応援しとるで。ちょっと進行速度遅い気もするけど」
「一緒に帰るとか、面倒臭いやん。休みに呼び出されるのもダルかとに・・・」

 ――話聞いてたのか上鶴!
 気怠そうな顔をした陸部一のサボり魔は恋愛においてもサボり癖があるようだった。確かに、彼がデートの予定を立てるタイプには見えないし、ましてや時間通りに待ち合わせに来るのも想像出来ない。
 それにしたって須藤。お前は失礼過ぎる。

「いいだろ、別に。恋愛なんて人それぞれだって」

 負け犬の遠吠えに聞こえなくもない。
 ここでスポンサーこと折竹が渋い顔でこう提案した。渋いというか、苦笑いだろうこれは。

「な、方波見。そろそろ次のステップいこか?」
「次・・・」
「今回は俺もどうなるか見届けようかなあ」

 ちょこん、あざとくも可愛い動作で話の輪に入って来た須藤司は確かに獲物をいたぶるような冷笑を浮かべていた。嫌な予感しかしない。