第8話
「じゃあ、次私が話しますね!」
8番手、%&’”#$*。ざわっ、と周囲が微かにざわついた。
室内は真っ暗だ。
「私、部室によくいるんですけど、この部屋って部員さん以外にもたくさんの人が出入りするんですよねだって鍵が掛からないようになっていてしかも学校の七不思議にいつもいつもいつもいつもいつも入ってますから!
私は1日中ここにいるのに誰も声を掛けてくれない何でどうして――」
「ちょっと待ってくれるかな」
話を遮ったのは部長、月原だった。いつも通り穏やかな声音で緩やかに言葉を続ける。
「暗くて見えないけれど、今日は兼山さんが休みで、でも部員自体はみんな来ていたから合計7人で活動していたよね。僕は蝋燭を7本しか用意していないから間違い無いはずで、ちゃんと全員が話して行って消したから今は真っ暗。状況そのものは何もおかしい事なんて無いはずなんだけど、君は誰かな?」
「上手な演技だったなあ。心研部に演劇部兼部してる子、いたっけ?」
元気な須藤と月原に比べ、他部員は沈黙を保っている。というか、椅子の脚がガタガタしているので驚きで声が出ないものだと思われる。
「ちょっと、落ち着かなくていいから電気点けよう!?ちなみに私は何も喋ってないから!」
「ああ、ライターは俺が持っていたね。ちょっと点けてくる」
ライターの光で周囲を照らした鹿目が立ち上がり、電気のスイッチを弄くる。程なくして部室はいつも通りの明るさを取り戻した。月原が直ぐさま人数を数えるが当然ながら7人しかいない。
「・・・あれ。誰か忍び込んでたものかと思ったけど、本当に7人しかいないね。えー、仙波さんか葉木さん、悪戯した?」
顔が完全に強張っている珠代はその首をゆっくり横に振った。完全に怯えきっており、嘘を吐いているようには見えない。一方の葉木も「自分は違う」、と声高に主張している。この様子からして彼女もまた犯人では無さそうだ。
「月原、今日は解散にしてはどうだろう。これ以上は活動を続けられる空気じゃない」
ライターを閉まった鹿目が淡々とそう口にした。その言葉に反応して椅子から一番に立ち上がったのは光だ。釣られてか清澄もロボットのような動きで立ち上がる。
「・・・解散にしようか。片付けは明日の昼休み。じゃあ、解散」
なお、比較的冷静な何名かで結局アレは何だったのか話し合ったが、たまにある『心霊実体験』で決着した。