Ep1

01.


 4時間目の終了を告げるチャイムが鳴った。そそくさと授業を締めくくった教師の「終わります」、という言葉と共に思い思いの場所へ去って行くクラスメイト達。今から昼休みなのでその場で弁当を取り出した私はスマートフォンのランプが緑色に光っている事に気付いた。
 みんな大好きLINEの通知だけは緑色。メールなど他のアイコンの時は青の光が点灯する、およそ1年前に買い換えたスマフォだ。
 特に思うところ無く画面を点ける。真っ先に飛び込んできたのは兼部の方のグループラインで、今から部会をするという旨のメッセージだった。

「壱花、昼何食べるん?ちょっとパン買ってきてええか?」

 そう声を掛けてきたのはクラスメイトの鈴島美鳥。関西人なのだが、比較的標準語が多い学校に雰囲気を合わせる為2年間の試行錯誤を繰り返した結果、方言とも言えないような言葉使いに落ち着いてしまった陸上部の友達である。
 なお、スポーツ推薦枠が非常に多い我が西陵高校では割とありがちな光景だ。知り合いにももう一人言葉使いの矯正にチャレンジして散った男子生徒がいる。

「ごめんね、美鳥ちゃん。私今日は部会に行かないと」
「あ、そうなん?ああでも、あたしも昼ご飯食べたら昼練やわ。後輩と競争する約束してん」
「3年による後輩イジメ・・・」
「ちゃうわ!」

 プンプン、なんて言いながら去って行く美鳥ちゃんを見送り、弁当を持って部室棟へ足を運ぶ。帰宅部の子からは『別棟』なんて呼ばれているやや汗臭い建物だ。男女混合の部活は部室を2つ与えられるが、私が所属しているような文化部の部室は基本1つ。着替える必要がないので仕方がないものの、何となく不遇なのはきっと文化部の宿命だろう。
 しかも、文化部の部室は基本的に地下。或いは最上階。1階と2階は運動部に占拠されている。彼等彼女等は運動場だの体育館だのに移動しなければならないので、という配慮らしいが運動部なら階段という名の上下運動をすべきだ、ホント。
 ようやく部室が見えてきた。教室がある棟から部室棟まで遠すぎる。
 隣の漫画研究部と間違え無いように名札を確認。
 ――『心霊研究部』。
 何度も見て何度も思うが、よくこんな部活の存在を教師達が認めたものだ。世の中とは不思議に溢れている。