3.

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 教師が住所を告げ、さっさと退出する。彼も彼で夏休みだと言うのに忙しいようだった。

「チッ、お化け屋敷・・・?面倒臭ぇな」

 チラリ、と相方の後輩を見やる。見て、そして噴き出した。

「は?何お前、お化け屋敷とか駄目なのかよ。顔蒼いぞ」
「笑ってんじゃねぇヨ!お化け屋敷が恐いんじゃないアル。その住所にあるお化け屋敷、変な事件が絶えないってもっぱらの噂ネ。絶対に行きたくないアル」
「はぁ?事件?」
「まずあの近隣での一般人とお化け屋敷バイトの行方不明が2件、館内での負傷者も相次いでるヨ」

 ――案外ヤバイ事件なんだが。
 それ最早オカルト案件じゃなくて普通に事件としての案件で受理出来るレベルだ。

「じゃあ止めるか?」
「止めないアル。いなくなった生徒の中にレティシアがいるネ。アルヴィンはどうなろうと知ったこっちゃないけど、レティは見つけ出してみせるアル」
「2年の横関係なんざ知らねぇよ。つか、お前みたいなゴリラにも友達いたんだな」
「テメェと一緒にすんなヨ、根暗野郎!あーあ、絶対ヤバイヨ、レティ大丈夫かな・・・」

 ――何かの陰謀に巻き込まれてるだろ、絶対。
 思ったが口には出さなかった。彼女の怪力でどつかれようものなら今日1日痛い身体を引き摺って行動しなければならなくなる。

「チッ。面倒な任務に足突っ込んじまったな」

 むしろこちらが任務を辞退したくなったが、当然後の祭り。
 空元気に見えなくも無い相方の低い位置にある頭を見下ろし、もう一つ溜息を吐いた。何か一悶着ある気がしてならない。