1.
日差しが眩しい。そう気温は高くないはずだが激しい運動後の身体にとってみれば気温云々はまるで関係無く、額を伝う汗を分厚いローブの裾で拭う。
「終わった、かな・・・?」
同じく肩で息をしていた仲間の一人が震える声で尋ねる。彼女もまた憔悴しきった顔をしており、恐らく自分より働いていたのだろう。ぐったりと溜息まで吐く始末。
「終わってるでしょ。というか、終わってないと困る。もう疲れたし」
「あまり不用意に近付かない方が良いわ」
「だってよ」
目頭を揉んでいる一人。その脇を通り抜けようとしたもう一人を制止する。注意をしたにも関わらず、へらりと笑った彼は小首を傾げてみせた。
「え〜、でも、ホントに斃したか確かめないと。みんな近付きたくないみたいだし、俺が確認すればいいかなぁって」
「元気、ね」
7人で仕留めたそれに視線を移す。
黒い体躯、2つ首の巨大な蜥蜴モンスターだ。当然の如く大型に分類されるそれはぷすぷすと煙を上げ、焦げた匂いを立ち上らせていた。どこかの国ではこれを食糧として食べるそうだが、とても真似出来る気がしない。
「なぁなぁ、終わったのに合図がねぇな?誰か教官に終わりましたって報告して来ないか」
「一人で行けば?」
「なに!?寂しいだろうが!それに単独行動はなるべくするなとお達しがあっただろ!?」
そんな会話を尻目に、空を見上げる。終了の合図は一応鐘の音と狼煙によって知らされる。音が聞こえない可能性も考慮しての事だが――
「おっ!鳴った鳴った!よっしゃ、終了だぜかいさーん!」
ゴーンゴーン、という重々しい鐘の音。仲間の一人が嬉しそうな声を上げた。