嫉妬させてみる1

 常々から思っていたが、真白とディラス間に恋愛感情は無いのだろうか。どちらも互いに対人関係において干渉しているところを見た事が無い。無関心、とでも言うのだろうか。
 気になりだしたら止まらない。それは彼女――マゼンダだけではないだろう。ただ、行動力に差異はあるだろうが。

「なあ、真白」
「何」

 ロビーにて珍しく読書に勤しんでいた真白を発見。マゼンダはにやけ顔を必死で堪えながら彼女に近付いた。向かい側にどっかりと腰掛ける。ちょっとだけ迷惑そうな顔をされた気がした。

「ディラスに女が出来たって話、知ってる?」
「何それ、タチの悪い冗談ね」
「どう思うよ」
「別に何とも・・・女の方が可哀相だとしか・・・」

 本気で困惑している。というか、女が出来たというネタそのものに興味が無いらしい。どうしてそんな事を訊くのか、という逆質問まで貰ってしまった。
 仕方が無いので話を変える。

「その女がさぁ、超美人。大人っぽくて――」
「私が子供っぽいって喧嘩売ってるの?マゼンダ」
「あ・・・コンプレックスだったか・・・」

 怒らせてしまったらしい。ここまで何にも引っ掛からないディラス。少しだけ憐れである。あんなにいつも一緒にいるのに――

「歌が上手な女でさぁ。ディラスのヴァイオリンに合わせて――」
「えっ!?」

 がたっ、と真白が立ち上がる。
 ――どうやらこのネタが効果的だったらしい。