その日、書類整理をしていたコーデリアは帰る直前に上司から書類を押し付けられた。どうやら訂正箇所を直して欲しいとの事で、あと5分で労働時間は終わるはずだったというのに気付けばそれから3時間も過ぎていた。深夜1時過ぎである。
――が、仕事中毒者である彼女はそれに対して何の不満も抱かなかった。
「ハーヴィーさん、終わりましたよ」
「そうか、ご苦労。もう帰っていいぞ、長く引き留めて悪かったな」
「いいえ」
口先だけの謝罪を聞き流し、タイムカードを――
「・・・あの、ハーヴィーさん。もしかして私のタイムカード・・・」
「ああ。お前のタイムカードは切っておいた。10時の時点で」
「えっ?いやそれ、残業手当が――」
「残業手当・・・?何だ、それは」
ここ、《グレーカンパニー》は灰色とは表向きの、内部は真っ黒なブラック企業である。